ラマダンは、控えめに言っても最高
今、ムスリムは世界に19億人もいると言われている。とはいえ、日本に暮らす僕たちは、まだまだ彼らのライフスタイルを具体的には分かっていない。
そこで、ムスリムとの距離感を縮めるために、東京生まれ東京育ちのクリエイター、ラハマリア・アウファ・ヤジッドさんにお話を聞くことに。もちろん、彼女もイスラム教を信仰するひとりだ。
ムスリムに聞いてみたいと思ったことはあるけど、正直、聞きづらい……そんなアレコレについて教えてもらった。
第3回目のテーマは「ラマダン」。
【ラマダンの意義】
善行ポイント倍化キャンペーン
ラマダンは、控えめに言っても最高。
年に1度訪れる約1ヵ月間の断食期間「ラマダン」──。五行六信のうちのひとつである断食をおこなう月で、ムスリムにとっては一大行事でもあります。
日が出ている間は飲食を断つ。これは割と知られていると思います。
じつは、その他にも、心身ともに清めるために日中は様々なことを我慢します。例えば、人を欺くことや喫煙すること、性的関係を持つこと……。もちろん、喧嘩もダメ絶対!
欲を抑えて、できるだけ心穏やかになるように努めます。私たちって、せわしない生き物だから、自分の内面と精一杯向き合う機会をなかなかつくれない。つまり、ラマダンとはひと月の忍耐を通して、心身ともに美しくなった自分に出会うための“自分磨きの期間”なのです。
みんなで一緒に磨き上げるんです、ピッカピカに。
よく周りからは「かわいそう」「はやく終わるといいね」と言われるのですが、この期間は本当に喜びに溢れていて、むしろ「終わってほしくない」と思っているムスリムがほとんどじゃないかな。
というのも、期間中は「最善の自分を目指す」という教えがあり、家族や友だちと徳を積む話をして、お互いを高め合ったり、食事を分け与えたり、善いことに時間を費やす努力をします。
そして、ラマダン中はそれらの善行が、普段の何倍も膨らんで右肩の天使に記録されます(ちなみに、左肩にいる天使は悪行の記録係です)。善行の記録が多いほど天国へ行きやすくなるから、頑張るんです。いわゆるスーパーのポイント10倍セールみたいなものだから、みんなこぞって、善いことをするんです。
あと、断食明けの食事(イフタール)は、みんなで集まって食事をするので、本当に賑やか!
普段会えないような友だちに会える機会が増えるし、日の出前の朝(深夜)ごはんも家族と集まって食べる毎日です。共に生きる喜びを分かち合えば、自然と心が安らかになります。
忍耐を通して自分の体や思考を支配していた余計なものや考えが一掃される。
そして、水や食べ物、健康な体……そういうのは当たり前なものではなくて、神様からの恵だと再認識。原点回帰ですよね。生きることは、なんてシンプルなんだろうって。
こんなにも恵に溢れていて、美しい人や自然が広がっている世界を生きれることは、なんて素晴らしいんだろう!とも思える。
ラマダンが終わるたびに、この喜びに溢れた1ヵ月間をまた来年も迎えられるといいなと、毎年願っています。
インドネシア人の両親をもつ、東京都出身のクリエイター。ヒジャブを使ったモデストファッションを提案し、東京らしいセンスを取り入れたメイクやファッションをInstagramを中心に発信している。スタイリングアドバイザーとしても活躍中。
【Instagram】https://www.instagram.com/aufatokyo/
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