なんでいつもポジティブなの? ムスリムに聞いてみた

今、ムスリムは世界に19億人もいると言われている。とはいえ、日本に暮らす僕たちは、まだまだ彼らのライフスタイルを具体的には分かっていない。

そこで、ムスリムとの距離感を縮めるために、東京生まれ東京育ちのクリエイター、ラハマリア・アウファ・ヤジッドさんにお話を聞くことに。もちろん、彼女もイスラム教を信仰するひとりだ。

これまでにヒジャブの役割ラマダンの意義に関する質問を投げてみたが、その回答で感じていたことがある。なんでムスリムって、いつもポジティブでいられるんだろう?

ということで、第6回目では失敗を経験してもクヨクヨしないワケを聞いてみた。

「失敗に立ち向かう試練は、
神様からのギフト」

©ラハマリア・アウファ・ヤジッド

大前提として、ムスリムはこの世のすべては神様が創り出したものだと考えています。私の人生もそう。

で、成功も失敗も彼の壮大な計画の一部で、すべての出来事には意味があるんです。

まずは失敗について。

仕事がうまくいかなかったり、病気になったり、愛する誰かを亡くしたり……人生には悲しみや苦しみがつきものですが、それらを避けて生きることはできません。仕方ないんです。

ただ人間って、悲しみを知っているからこそ喜びを味わうことができるし、苦しみを経験しているからこそ心の平安に気づける。どんな悲劇や失敗も、その裏にある“当たり前だと思っていた幸せ”を知るために神様が与えてくれた、まぎれもない恵なのです。

だから、あまり落ち込まないし、ズルズルと引きずらない。そして、いつも前向き。

この世がなんの苦しみもなく幸せだけに満ち溢れている場所だったら、きっと私たちは感謝の気持ちを忘れてしまいます。

当たり前なんてものは存在しないのに、幸せの真っ只中にいるとそれを忘れてしまうのが人間。平和ボケしてしまう生き物なんですよ。

自分が手にしているすべてのもの、家族も友人も財産も日常も、すべて神様が与えてくれているものだということを忘れないように、たまには失敗しなければいけないわけです。

例えるなら、失敗に立ち向かう試練というのは神様からのギフトであって、試練がないと人間は成長できないのです。

失敗の反対、成功に関してはこう。

私たちは成功した時や幸せを感じた時に、神様の恩を忘れることなく、我に立ち返って感謝します。お金持ちになるとか、有名になるとか、ムスリムにとっては本当の幸せではないのです。

この世のものはすべて有限で、いつか失われてしまうもの。

人は誰しも老いて死ぬし、必死に積み上げてきた富や名声も、死んでお墓に入れば価値を失って、無意味なものになります。よく聞くことだとは思いますが……。

あの世には、善行以外、何も持っていけません。だから、私たちムスリムにとって本当の成功とは、神様に感謝する人間になることなんです。善行を積むための手段としてなら、お金持ちになったり、有名になったりすることは決して悪いことではないし、それは大切だとも考えられています。

与えられた環境において善行を積む最大限の努力をして、どんな結果になろうと感謝さえ忘れなければ、たとえそれが他人からみて失敗だとしても、それは自分にとっての成功です

「インシャーアッラー」というアラビア語で「もし神様がお望みであるならば」を意味する言葉があります。ムスリムはこの言葉を日常的に使います。

「インシャーアッラー、ご飯を食べる」という目先の行動から、「インシャーアッラー、来週友だちと遊ぶ」「インシャーアッラー、来年はついに30歳だ」なんて未来のことまで……。

“絶対”や“当たり前”なことはなくて、すべて神様の許可のもとで起きているんだということを再認識させる言葉です。

ちなみに、私は就活が思うようにいかなかったのですが、それも神様の計画。面接に通らなくても私が気を楽に過ごせたのは、心の中に神様への感謝の気持ちがあったからだと思います。

失敗を経験していなければ、今の自分はありません。そして、失敗から学んだことはたくさんあります。

どんな出来事や結果でも、神様が私に与えてくれた“最善”で“成功”だから、それに感謝して、次のことに集中できるんです。

ラハマリア・アウファ・ヤジッド

インドネシア人の両親をもつ、東京都出身のクリエイター。ヒジャブを使ったモデストファッションを提案し、東京らしいセンスを取り入れたメイクやファッションをInstagramを中心に発信している。スタイリングアドバイザーとしても活躍中。

【Instagram】https://www.instagram.com/aufatokyo/

 

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Top image: © ラハマリア・アウファ・ヤジッド