「制限」について、どう考えている? ムスリムに聞いてみた
今、ムスリムは世界に19億人もいると言われている。とはいえ、日本に暮らす僕たちは、まだまだ彼らのライフスタイルを具体的には分かっていない。
そこで、ムスリムとの距離感を縮めるために、東京生まれ東京育ちのクリエイター、ラハマリア・アウファ・ヤジッドさんにお話を聞くことに。もちろん、彼女もイスラム教を信仰するひとりだ。
これまでにムスリムの恋愛観や礼拝について聞いてみて分かったのが、イスラム教の戒律は想像以上に寛容的ということ。とはいえ、制限があるのも事実。率直にどう思っているのだろう?
第7回目では、自分の欲との接し方について教えてもらった。
「信仰が葛藤を、
人生の教材に変えてくれる」
イスラム教の戒律は葛藤を生み出すと考えられがちですが、私はむしろ信仰によって身も心も支えられていると思います。イスラム教を信仰しているから葛藤が生まれるわけではありません。
葛藤は信仰がなくても生まれるものだし、信仰は苦しみだらけの葛藤を意味のある“人生の教材”に変えてくれます。
「豚を食べない」「お酒を飲まない」なんて、壮大な人生におけるほんの一部でしかなく、とても小さいもの。
私たちムスリムの考える人生最大の葛藤は、エゴや欲望と向き合うことです。何よりも謙虚さを大切にするから、やっぱり自尊心との戦いは避けられません。
そして、“自分は他人よりも優れているという自尊心は人の心を殺す”と考えられています。自惚れが膨らめば膨らむほど、私たちは神様に対する感謝の気持ちを失ってしまうものなんです。
少しでも自尊心が芽生えたら、垂直関係にある神様を思い出します。自惚れしてしまった自分を悔いて、仕切り直す。そうやって試行錯誤を繰り返しながら、謙虚な人間に成長するわけです。
現世の様々な不都合も神様が用意したもの。それを通して、今まで気づかなかったものに気づいて、理解できなかったことを理解して、生きる意味が何十倍にも膨れ上がって、神様により一層近く。
現実的に考えると、“善人になるんだ!”というモチベーションを維持しながら、常に実行することは難しいです。でも、簡単ではないからこそ、神様は私たちにたっぷりと時間を与えて、失敗させて、考えさせて、少しずつ少しずつと成長させてくれるのです。
そもそも、人生が簡単なはずなんてないんですよ。だから、神様はそれを乗り越える方法をクルアーンを通して教えてくれています。
そして、それが私にとっての信仰でもあります。
どんな人でも欲と戦いながら生きています。でも、他人の葛藤は誰にも、一生かけても分かりません。
その人の経験すべてがその人の今を形成していて、その人にしか分からない方法で世界を見ているのですから。
だからこそ、お互いに優しく、思いやりを持って接したいですね。
インドネシア人の両親をもつ、東京都出身のクリエイター。ヒジャブを使ったモデストファッションを提案し、東京らしいセンスを取り入れたメイクやファッションをInstagramを中心に発信している。スタイリングアドバイザーとしても活躍中。
【Instagram】https://www.instagram.com/aufatokyo/
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