「withコロナ時代のサウナ」13の注意点

目次

「やっと……サウナに行ける……」

緊急事態宣言が解除され、止むを得ず営業を自粛していた多くのサウナ施設が、ようやく営業を再開した。

すでに“限界”に達し、このときを待ちわびていたサウナーは世に数多いるだろうが、(言うまでもなく)まだまだ油断は禁物だ。安全にサウナを楽しむためには、施設側はもちろん、利用者側のしっかりとした感染対策も求められる。

コロナ第2波を防ぐため、ひいては日本のサウナ文化を守るために——。

『TABI LABO』ではおなじみの加藤容崇医師に、withコロナ時代のサウナにおいて注意すべき点を聞いた。

 

加藤 容崇(かとう やすたか)

慶応義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット特任助教・医師、北斗病院・医師、日本サウナ学会 代表理事。サウナ好きが高じて、“ととのう”をはじめとしたサウナの効能を科学的に解明する取り組みをおこなっている。著書『医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?』が好評発売中。

今こそ、“サテラシー”を高める良い機会

「将来的に新型コロナウイルス感染症に対する治療薬やワクチンが開発されたとしても、サウナ利用者の衛生意識が高いに越したことはありません。今こそ、一般的な感染予防対策としての衛生意識改革に取り組む良い機会だと思います。

新型コロナウイルス感染症に対しては、各業界でガイドライン策定などの対策が進んでいます。日本サウナ学会でもサウナ施設向けのガイドラインを策定、公開しました。

ただし、どの業界にも共通の“大きな課題”が浮き彫りになってきています。それは『施設側の対策には限界がある』ということ。コロナ対策をすればするほど、経営にはマイナスになってしまうのです。

それでは贔屓にしているサウナ施設が潰れてしまう。かといってコロナ対策をしていない施設に行くにはリスクがある……。

ここでサウナを救うキーワードが『サテラシー』。サウナ内でのリテラシー、つまりサウナーとしての常識的な行動規範を指す私の造語です」

©Med Photo Studio/Shutterstock.com

「たとえば、『対人距離を取る』という対策があります。最低1メートル(2メートルが理想)が政府の推奨ですね。

医学的に見ても、飛沫感染対策としては極めて妥当。しかし、2メートルも対人距離を取ると、ほとんどのサウナ室では2~3人しか入れません。1人しか入れない小さなサウナ室だってあるでしょう。これでは経営が成り立たない。

仮に経済的に余裕のある大手施設で入場制限をし、サウナ室内にマットを2メートル間隔に置いて注意喚起をおこなったとしても、利用者が勝手にタオルを持ち込み、制限人数以上で利用したり、設置されているマットを動かしたりして対人距離が保てない可能性がある(実際に一部の施設では起きている)。

接触感染対策を考えても、サウナ施設には利用者が共通して接触する箇所が非常に多い。しかもロッカー、シャワー、ドライヤー、シャンプー、ドアの取手、洗い場の椅子、洗面器、浴槽、トイレなど施設としては撤去が難しいものばかり。

深夜営業をおこなうサウナ施設や銭湯も多い中、スタッフは限られており、頻回の消毒も難しい。たとえ出来たとしても、本来は一利用者ごとに消毒すべきものであるため、接触感染対策としては完璧とは言えません。

このようにサウナ施設が収益を犠牲にして精一杯コロナ対策をおこなったとしても限界がある。サウナ施設側だけでなく『利用者側も一緒になってコロナ対策をする』という意識が大切。今こそ施設側と一体となるべきです。

そのために出来ることを、以下の通りまとめました。これらのポイントと、コロナ対策で大変な施設や従業員への感謝の気持ちを忘れることなく、大好きなサウナを楽しみましょう」

©iStock.com/Malkovstock

01.
入館・退館時を含めて、こまめに手を洗う

02.
館内では可能な限りマスクを着用する

03.
荷物は受付に預けず自分で管理。ビニール袋を持参し、着替えや荷物はビニール袋に入れてロッカーに入れ、退館時に使用したビニール袋を捨てる

04.
手で顔を触わらない。
触れる場合は手を石鹸で洗ってから

「新型コロナウイルスのみならず、あらゆる感染症予防に役立つ習慣なので、この機会に意識すべきです。不特定多数が触れるものは新型コロナウイルスが付着しているかもしれない(実際にウイルスが付いている可能性は低いが)という意識を持ち、顔を触わる際や飲食する際には常に思い出してほしい」

05.
対人距離を1メートル以上(2メートルが望ましい)保つ。施設が混んでいたら利用を控える

「前述の通り、多くのサウナ施設は入場制限やサウナマットの間引きによって対策しています。もし仮にこのような対策が行われていなかったとしても、対人距離が保てない場合は、利用者が自主的に判断し利用を控えるべき。

サウナ室のみならず浴槽内、洗い場、ロッカーなどすべての場所が対象です」

06.
会話は必要最低限にしてなるべく控える

「会話は感染を広げる大きな要因。サウナ室は狭く、換気が悪く、人口密度が高くなりがちなので特にリスクが高い。

『高温多湿だからウイルスが死ぬ』という噂が流れているようですがウソです。サウナ室の座面温度は約70℃ですが、新型コロナウイルスは70℃で5分間感染性を維持することが報告されている。咳やくしゃみ、会話の際の飛沫で感染してしまう可能性があります。

そもそも、サウナ室のルールとして『静かにする』ということは大前提。『妖怪サウナババァ』『妖怪サウナジジイ』と称される、我が物顔で喋りまくる常連も少なくないため、いま一度、常識の再確認が必要だと思います

07.
不特定多数が触れる部分への接触も必要最低限。触れた後には手指を消毒、あるいは手洗いすることを心がける

「まずはみんなが触るところには触れない、あるいは肘や膝など手以外の部位で触れるようにしましょう。どうしても触れてしまう場合は、しっかりと手洗いを。

従業員による頻回の消毒には限界がある。消毒薬が置いてある場合には、利用者が自ら使用前後で消毒をおこない、サウナ施設を助けましょう」

08.
浴室内など共通接触部分が水洗いできる場合は、水で流してから触れる

「洗い場などには多くの接触箇所があります。使用前にはシャワーで洗い流すことを習慣化すべきです」

09.
痰切りは控え、咳やくしゃみをする際にはタオル等で口を覆う

「コロナウイルスに限らず一般的な常識。洗い場でガーガーと痰切りをする人がいますが、ウイルスを撒き散らす可能性があるだけでなく、周囲の人を不快にさせる要因になります。どうしても、咳やくしゃみをする場合には、必ずタオル等で口を覆いましょう」

10.
水風呂、浴槽には顔をつけない、潜らない

「水風呂や浴槽は絶えず循環されており、消毒も適切におこなわれているが、感染リスクはゼロではない。体は問題ありませんが、顔は感染リスクがあるため、水風呂の水面に顔をつけたり潜ったりするのは絶対にやめるべきです。ここでも手で顔に触れないよう気をつけましょう」

11.
トイレは特にウイルスが多いことが報告されているため、接触は最低限、利用は最短時間にし、使用前後に必ず手を石鹸で洗う

「トイレはもっとも多くのウイルス検出が報告されている。喚起が悪く対策が困難な場所でもあります。利用時は必ず石鹸で手を洗い、長時間の利用は控えましょう。トイレの水を流す際にはキチンと蓋をしてから流すように」

12.
現金での支払いを避け、可能な限り接触を必要としない方法(電子マネー等)で支払う

13.
高齢者(70歳以上)、基礎疾患がある人(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患等)、透析中の人、免疫抑制剤や抗癌剤などで治療中の人は重症化するリスクが高いので特に注意

「上記の人は感染した場合に死亡する確率が高いことが報告されているため、なるべく利用しないようにするべき、というのが医師としての正直な意見。しかし、温浴は公衆衛生的観点もあり生活インフラとしては不可欠です。利用前に施設側のコロナ対策がしっかりとおこなわれているかを確認し、自身でも対策をおこなってから利用しましょう」

Top image: © iStock.com/nd3000
利用者個人の感染症対策はもちろんだが、やはり施設側の対策も気になるところ。
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