「おやつは食べていいんですよ」パーソナルトレーナーが教える“間食の正解”
太ってたって、痩せてたって、それが自分。
本当はそんなふうに、どんな自分も認めてあげられたらいいのだけど、そのために必要なのは「今の状態に満足している」ということ。その満足感がちょっとだけ足りないから、世のダイエッターたちは日々がんばっているわけです。
しかし、ダイエッターというものは、つまるところ食べることが大好きな人。痩せたい一方で、おやつも食べたい、そう思ってる人は多いはず。(とりあえず私)
そんな理想と欲望の狭間で苦しむ同志たちに、パーソナルトレーナー・門脇妃斗未先生のこの一言を捧げます。
「おやつは食べていいんですよ」
日夜トレーニングや食事制限に勤しんでいるみんなにとって、こんなにホッとする一言はないかもしれません。そう、「おやつ=悪」ではない。
その理由を詳しく伺いました。
パーソナルトレーナー。YouTubeやInstagram、Yahoo!などで、自宅でできるトレーニング動画を配信。2019年には、DMMオンラインサロンも開設し、ダイエット中の食事の相談などもおこなっている。明るいキャラクターと、ユーザーに寄り添う指導が大好評。著書は『なかなか痩せない人程、脂肪がどんどん燃える 燃焼系HIITダイエット/PHP研究所』など。愛猫は19歳のオス猫・GOちゃん。
HP:HIIT ME FIT
「我慢」するから
食べたくなるんです
子どもの頃は、もっとみんな純粋に楽しんでいましたよね、「おやつ」。
それが、特にトレーニングをしている人や、体型維持に気を遣っている人にとっては、いつしか「太るもの」=「悪者」になってしまっていました。
でもじつは、おやつを上手に取り入れることでむしろ過食欲求を抑えられるんだそうです。
妃斗未先生曰く、人が太る大きな要因の一つは「欲求を溜めること」。
「食べたい欲求があるときは、しばらく好きなものを食べてその欲求をなくすことからはじめてみてください。
そんなふうにして、“私はいつでも、好きなものを食べられるのだ”ということを頭と体に理解させていくことで、欲求は少しずつ抑えられていきますよ」
先生自身もハードなダイエットをしていた時期、おやつや食事を制限していたそうなんですが、それでも体重の減少はわずかで、むしろメンタルは常にマイナス思考に。
食事制限をしているのに食べることばかり考えてしまい、挙句「食べたい!」という欲求は定期的に爆発し、ストレスによってドカ食いをしてしまっていたんだとか。
「食べることを我慢すると、あとで余計に食べてしまう」
これを経験したことのある人って、きっと多いですよね。
「食べちゃダメなもの」
なんてありません
とは言うものの、市販のポテトチップスを食べたり、夜遅くに食べたりと、何も考えずに食べるのはさすがにまずいですよね……?
「ポテトチップスでも、チョコでも食べて大丈夫ですよ」
驚いてください。なんと妃斗未先生も、市販のスナックを食べています。
我慢や無理なダイエットを繰り返した経験を経て、今では食べたいときに、食べたいものを食べているそうです。自家製のおやつやパンケーキなどが多いですが、市販のポテトチップスだって食べちゃいます。
にも関わらず体型を維持。
これは、もちろんトレーニングによって作った「燃やせる身体」であるというのも大前提なんですが、併せて「欲求を溜めない」というのも大きなポイント。
「私たちが子どもの頃から食べていて好きなもの(食べたいもの)って、大人になっても変わらないから、それを我慢している限り欲求が溜まっていくだけ。
中途半端にカロリーオフのおやつとか、大して興味もないのにオートミールや全粒粉を使ったおやつを食べるよりは、自分が本当に食べたいものを食べる方が欲求は抑えられるんです」
だから、まずは「自分が本当に好きなお菓子」を選んで食べ、欲求を抑えていった後、自分が食べたいなと思ったタイミングで、手作りしたヘルシーなおやつなどに手を出してみるのがおすすめとのこと。
「もちろん、最終的には手作りのおやつがおすすめなんです。市販のおやつには添加物の問題もあるから。
添加物は、食物繊維などが上手に摂れていれば一緒に体外に排出できるので大丈夫なんですが、そうでなかったり、身体の老廃物排出能力が弱っているときには、腸内に居座って栄養の吸収を妨げたり、脂肪の分解を妨げてしまうんです」
だから、添加物の入った市販のお菓子は、本当は避けたいものではあるけれど、とにかくやっぱり最大の敵は「欲求」。まずはこの欲求を、好きなおやつを食べて解消するところから。
おすすめのタイミングは
「ごはんとごはんの間」
ただし、「食べ方」についてはポイントがあります。
「おやつを食べるタイミングとしておすすめしたいのは、朝ごはんと昼ごはんの間と、昼ごはんと夜ごはんの間。食事の3〜4時間前におやつからエネルギーを摂れると、血糖値が安定するので、メインの食事のタイミングでは食欲が抑えられるんです。びっくりするくらい夜にはそんなに食べたいと思わなくなりますよ」
そして、糖質はエネルギーになる材料なので、糖質の多いおやつは日没までにとっておくのがベスト。そうすることで、就寝までにしっかり消化して内臓を休ませることができるんだとか。
それでも夜に食べたくなってしまったらおすすめなのは、プリンやヨーグルト。またはフルーツやフルーツで作ったおやつなど。
「特にフルーツは、栄養分子が細かく消化作業に時間がかからないため、就寝直前に食べたとしても1時間後くらいには消化し終わるので、そんなに内臓に負担をかけずに済みます(ちなみにご飯や小麦粉系は消化するまでに3〜4時間)」
でも、本当のところ、寝る前にマフィンやケーキの一切れを食べたところで、私は別にいいと思ってます。もちろん代謝がいいかどうかなど、人によって身体の条件が変わってきてしまうけど、それこそ運動している人ならそのくらい問題ないはずなんです。一番大事なのは、“食べても燃やせる身体を作ること”」
ただし、欲求を溜めてしまっている人に関しては、一度食べ出すと量が多くなってしまいがちなので、パウンドケーキやマフィンといった腹持ちのいいおやつは、日没までに食べるのを心がけておいた方がいいようです。
食事を「和食」にすると
さらに◎
ちなみに「食べたい」という欲求が強い人は、食事を「和食」にしてみるのもおすすめ。
和食は、エネルギーになるのはご飯で、タンパク質はこのおかずで……というように、目で見て栄養バランスがわかりやすいのも特徴ですが、ご飯、主菜、副菜、汁物などを薬味なども使って彩りよく盛り付けるので、“目から”も満足できる食事。
それを、ご飯を一口食べたら汁物を一口、主菜を一口食べたらご飯を一口、といった具合に、ゆっくりじっくり味わって食べることができるようになれば、食事から生まれるストレスは徐々に減っていくし、おやつを食べる量も落ち着いてくるのだとか。
ただし、食欲が溜まりすぎている人が食べたくもないのに無理やり和食にすると、逆にほかのものを食べたい欲求をさらに溜めてしまうことになるので、注意が必要です。
とにかくまずは「自分が食べたいと思うもの」を食べること。
そして、妃斗未先生が併せて提唱するのは、以下の3つを心がけること。
まずは「空腹で起きること」、そして「朝イチで水分摂取とフルーツを食べること」、それから「一日一回心拍数を上げること」。
自分自身が食べることが大好きであり、過去に何度も食事で失敗をし、身をもって苦労してきたからこそ辿り着いた妃斗未先生の「食べ方」や「痩せ方」の正解。
それは、なんだか少し肩の力が抜けて、これからもマイペースに自分の身体と向き合っていけそうな気持ちになれるもの。
間違った思い込みで食べることを制限し、ダイエットに失敗し続けている一人でも多くのみんなに、このメソッドが届きますように。