【旧約聖書】禁断の果実、リンゴじゃないかも?【研究結果】
『旧約聖書』に書かれた「創世記」の舞台「エデンの園」で、神様から、とある1種類の木の実以外のすべてを食べることを許されていた、アダムとイブ。
その1種類とは、園の中央に生える「善悪を知る木(知恵の木)」の実。
ある日、ヘビにそそのかされてイブがそれを食べ、アダムにも分け与えた結果、園から追放されてしまった。強く禁止されていた約束を破らせるほどの魅力を持つことから、この実は「禁断の果実」 として知られている。
さてその正体は、いったい何の実なのだろうか?
「バル=イラン大学」のRabbi Ari Zivotofsky教授、「ウプサラ大学」のRobert Appelbaum教授の研究によると、有力な説はふたつ。リンゴか、リンゴ以外か、である。
西洋の芸術や文学、大衆文化では“禁断の果実=リンゴ”のイメージが定着しているが、旧約聖書にはただ「果実(木の実)」としか書かれておらず、リンゴを示す言葉は一度も用いられていないとのこと。
にもかかわらず、リンゴが有力候補となったきっかけのひとつは、ヘブライ語からラテン語への翻訳における“ダジャレ”だというのだ。
西暦382年のローマで、ジェロームという学者が、ヘブライ語の“peri”をラテン語の“malum”に翻訳。
英語では“apple”と訳されるこの言葉は、果物の総称を示す一方で、悪という意味も持っていたことから、人間の最初の“過ち”を生んだ“果物”としてリンゴを選んだと考えられている。
「エデンの園」をテーマにした絵画には、そのほかにもイチジク、シトロン、アプリコット、ザクロ、バナナなどが描かれてきた。
とくにイチジクは、羞恥心をおぼえたアダムとイブが、体を隠すために手に取ったのがイチジクの葉だったことから有力とされているが、研究にはいまだ疑問の余地が残るとのことだ。
the tree was good for eating and a delight to the eyes, and that the tree was desirable as a source of wisdom,(Genesis 3:6)
その木(の実)は食べるのに適していて、目にも鮮やかで、知恵の源として好ましいように見えた(創世記 3:6)
園の中央に生えていて、しかもおいしそうな見た目の果実。
思わず禁忌を侵してしまうほどに魅力的なその正体は、まさに神のみぞ知る真相だろう。