ティラノサウルスの狩りはソロプレイ?協力戦?【調査結果】
今から約1億年前の白亜紀後期、巨大で強靭な肉体を武器に、北半球を支配していたティラノサウルス。
単独で狩りをしていたのか、それとも集団で生活していたのかという問題は、古生物学者の間で長い間議論されてきた。
そんななか、アメリカ・ユタ州にある「グランド・ステアーケース=エスカランテ国定公園」内の「レインボー&ユニコーン採石場」から、4歳前後の幼体と20代半ばの成長した大人を含む、4~5頭のティラノサウルスの骨が2014年に出土。
その後7年間にわたる調査・分析により、一度の洪水で一緒に亡くなった家族だと判明したことから、ティラノサウルスが群れをなして行動する社会性を持っていた可能性が高まった。
この考えは、20年以上前にフィリップ・カリー博士が提唱したのち、各地で足跡化石等が見つかるたびに話題となっていた。
しかし、ティラノサウルスにチームを組んで狩りをするだけの脳力や社会性があった証拠としては疑問視されていたなかで、「デンバー自然科学博物館」のジョー・サーティク博士は今回の成果をこう振り返る。
「ティラノサウルスが大型で、複雑な(狩猟戦略を持つ)捕食者であり、現生の親戚である鳥類の多くに共通する社会的行動をとれたことを示す証拠のひとつです。
白亜紀の北半球において、この一流の肉食動物がどのように行動し、狩りをしていたのかを再考する転機となるはずです」
ちなみに「Deseret News」によると、採石場のファンシーな名前は、「米国土地管理局(BLM)」のアラン・タイタス氏が、新発見に際して(虹やユニコーンを見つけたかのように)いつまでも興奮していることを同僚にからかわれて生まれたとのこと。
「私にとっては、すべてが虹であり、ユニコーンなんだ」とのタイタス氏のセリフが、なんともロマンティックだ。