空に浮かぶは希望の光か
夜空に浮かぶ、光の輪。
神秘的なこのインスタレーションは、オランダのデザインラボ「スタジオ・ローズガルデ」による「Urban Sun」という作品。
絵面だけでも魅力的だが、さらにこのプロジェクトは、人類が現代の苦しい状況から抜け出す“希望の光”となるかもしれない。
というのも、実はこれ、新型コロナウイルスを消滅させる特殊な光を使用したソーシャル・デザインの類で、この光の中にいる間は感染リスクが格段に下がるというのだ。
「Far-UVC(遠紫外線)」と呼ばれる特殊なUVライトを照射するものなのだが、なんとこのライト、人間や動物にとって無害であるにも関わらず、細菌やウイルスを殺す性質があるのだそう。
新型コロナウイルスにも対応していて、空中を浮遊するウイルスの99.9%をわずか数分程度で不活性化させ、エアロゾルによる感染を防げるということだ。
「Urban Sun」というタイトルからも、未来へのポジティブな気持ちが伺える。
こうして見ると、本当に太陽が昇ったかのよう。“どんな夜にも終わりはある”......なんちゃって。
波長の違いによるこの性質は科学的に証明されたものだそうで、最初は半信半疑だった科学者や専門家も、最後にはチームとして開発に携わってくれたのだとか。
人類に無害であると言い切れないという主張や、空間の殺菌は完全ではないとの指摘もあるようだが、もしこれが成功したとしたら……コロナ禍脱却の突破口になりうるのではないだろうか。
しかも、新型コロナに限らずインフルエンザをはじめとする様々なウイルスやバクテリアを殺せるらしい。
現在開発されているものはごく小さな範囲を照らすものだが、応用して照明や街頭に使用できれば……イベントやフェス、さらにはクラブなどの密空間に安心感を与えてくれるはず。期待は高まるばかりだ。
将来的にはこんな感じらしい。なかなかにSFっぽい光景。
保菌した後の対処ではなく漂うウイルスそのものを殺すというアイデアは、これまでとは全く異なる感染対策へのアプローチ。しかもそれがインスタレーションによって実装されることは、“社会をより良いものにする”という、デザインの本質的理念を最大限に発揮していると言える。
ぜひ、蛍光灯に代わって新たな照明のスタンダードになってほしいものだ。「スタジオ・ローズガルデ」の研究が功を奏し、少しでも明るい未来を照らし出してくれることを願いたい。