「気候変動対策、マジ大事。だけど肉も食べたいしガソリン車にだって乗りたい……」
10月31日から11月12日にかけてグラスゴーで開催予定のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)を前に、ケンブリッジ大学が欧州7か国での気候変動に関する意識調査を実施した。
その内容が、なかなかに“市井のリアル”が垣間見えて興味深い。
ズバリ、結論から言えば、欧州の多くの人々が気候変動に対する早急な対策を求めている一方で、自身のライフスタイルを根本的に変えることには消極的。
調査は気候学者、数学者、科学コミュニケーターなど有識者が集うケンブリッジ大学の気候変動イニシアチブ「Cambridge Zero」との共同研究の一環として行われたもので、COP26開催国のイギリス、ドイツ、フランス、デンマーク、スウェーデン、スペイン、イタリアを対象に実施された。
今回の世論調査において、人々の関心がもっとも高かったもののひとつに「rewilding(リワイルディング)」がある。人間の手によって開拓した土地を自然の状態に戻したり、絶滅の危機に瀕した動物を再び野生へとかえすことには、イギリス人の70%、スペイン人にいたっては79%と、rewildingプログラムを支持する回答が。
また、政策レベルでの環境保護活動に対する態度においては、太陽光、風力、潮力など再生可能エネルギー政府投資を大幅に拡大する政策を「支持する」と答えた人の割合がこちら。
イギリス(66%)、ドイツ(52%)、デンマーク(65%)、スウェーデン(47%)、スペイン(74%)、イタリア(69%)。唯一フランスだけが24%にとどまった。
さて、一様に環境問題への意識が高い回答が多く見られたなか、自身のライフスタイルを変えることには消極的な意見も多かった。
たとえば、7か国とも「週に複数回は肉を食べる」と答えた人が過半数を超え、過去1年で肉食を減らしたと回答した人もごくわずか。その理由を「環境保護のため」と回答した人の割合となると、その中の半数以下にとどまる結果に。
また、ガソリン車やディーゼル車の販売禁止や、EV車普及のための自動車マイレージ税など政府の強行策には、賛成派、反対派が真っ二つ。疑問を感じる声も少なくないようだ。
脱炭素、自然エネルギー、ミートレス、食品ロス……ゼロ・エミッション社会実現に向け先頭を走る欧州。だが、すべてを「ヨーイどん」で変えるのは、どうしたって無理がある。それが結果となって表れているようにも思える内容。
とはいえ、「誰かがやってくれる」では何も解決しないことは、欧州の人々に限らず、我々だって意識すべきこと。という段階まで、もう現実は来ちゃっているわけだから。
自戒も込めて。