「忘れられた紙幣」なぜ、2000円札は出回らなくなってしまったのか?

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

二千円紙幣が発行された日

もう23年も前のことですが、大きな節目を迎えた2000年。新たなミレニアムのはじまりに世界が湧きました。もちろん、ここ日本でも。

1000年に一度というレア度、さらにはこの年、沖縄県名護市で開催された主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)を記念して誕生したのが、42年ぶりとなる新札「二千円紙幣」でした。

まさに23年前の今日、7月19日に発行された新紙幣。

特徴的だったのは、表面に肖像画ではなくサミット開催地となった沖縄の観光地・首里城の守礼門が描かれ、背面は『源氏物語絵巻』第三十八帖「鈴虫」の1シーンが採用されていること。

もちろん話題性は抜群でしたし、みなさんも1枚は手にしたことがあるでしょう。

が、今じゃほとんど見かけない。

どころか、最後に使った記憶すら思い出せない。いったい、二千円札はどこに消えてしまったのか……?

そもそも、ドルにしてもポンドにしてもユーロ札にしても、紙幣や硬貨に「2」という単位が存在します。でも、日本にはそれがない。

こうした馴染みの問題はさておき、日本銀行のデータ「種類別通過流通高」を見てみると、2004年の5億1000万枚をピークに急減。2003年を最後に製造をストップしてからというもの、2009年以降は1億枚台にとどまり、昨年まで横ばいをキープした状態です。

もちろん銀行や交通機関をはじめ、二千円札紙幣を受け付ける両替機や券売機は今でも多く存在します。ですが、自動販売機はじめコロナ以降主流となってきたセルフレジでは使えないケースも多く、こうなるともう「本当に必要だっけ?」とすら思えてしまう。

ちなみにですが、二千円札の流通量は全紙幣のうちの1%以下だそうです。

モチーフとなった沖縄県では、現在でもかなりの量の流通があるようですが、沖縄を除く各都道府県では、むしろ幻のような存在といっても過言ではないかもしれませんよね。

前述のように、ミレニアルを祝って、サミット開催記念に発行されたという意味合いが強く、記念紙幣と思い込んでいる人たちが多くいて、タンスや引き出しの中で大切に保管されていたとしても不思議ではない、かもしれない。

兎にも角にも、居場所も使い道も失われ、その存在すら風前の灯状態という、悲しき二千円札。人から人へ、お金は使わなければ回りません。「そういえば取ってあったっけ」という方は、忘れゆく紙幣でお買いものして、次の誰かへとバトンを繋げてみてはいかがでしょうか?

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