米政府が、2000億円を投じて「木を植えたい」ワケ

近年、地球温暖化やヒートアイランド現象対策として、植林事業や都市の緑化活動が改めて重要視されている。

実際に日本の心臓部、丸の内では、「丸の内の森」と呼ばれる大規模な緑化事業が行われたり、パリ・シャンゼリゼ通りでも緑化が進むなど、植林・緑化の事例は枚挙にいとまがない。

「身近に自然が存在することで老化が遅れる」といった研究データも発表されており、今や植林は、環境への直接的なアプローチという要素だけではなく、人間の心や体にまで良い影響を与えてくれるものとなっている。

そんな中、アメリカ合衆国農務長官であるトム・ヴィルサック氏が、先月アイオワ州で行われたイベントにて、国内の大規模な植林事業の展開に向けて2000億円弱の大規模投資を行うと発表した。

英『ガーディアン』誌が取り上げたこのイベントは、アイオワ州東部の都市、シーダー・ラピッズにて開催された。実はこの都市、2020年に「Derecho」と呼ばれる大規模な暴風雨によって多くの樹木が失われ、まさに復興段階にある都市なのだ。

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シーダー・ラピッズは、この事業の中でも最優先課題として認識され、約7億円もの投資を受けることとなった。

同都市以外にも、助成金は多種多様な都市に分配され、活用されるという。ニューヨークやロサンゼルスといった誰もが知る大都市から、ごく小規模な都市まで、多くの都市で緑化活動が行われる見通しだ。

ホワイトハウスにて主に環境問題を担当するマロリー氏は、以下のように語っている。

「誰もが自然に触れられる環境を整えていく必要がある。都市部における緑は、誰もが自然を身近に感じることができるだけでなく、異常気象への回復力を高め、猛暑を軽減し、地域社会をより住みやすくする上で、重要な役割を果たすものだ。」

世界中で温暖化が叫ばれる中、環境に対する私たち人類の関心は高まり続けている。

実際にこの問題を解決するためには、植林という限られた範囲のものだけでは必ずしも有効と言えないかもしれない。

それでも、都市に暮らす人々の近くに自然を取り戻し、その素晴らしさや落ち着きを与えるという効果を再認識してもらうことは、人々の心に環境保護への理解や協力の心を”植える”ことに繋がり、解決に向けた一歩を踏み出す契機となるはずだ。

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