アリの群れの意思決定は、神経回路のはたらきに似ているらしい【研究結果】
アメリカの『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』誌に、興味深い研究結果が掲載された。
なんと、アリの集団行動は神経回路のはたらきに似ているという——。
というのも、アリの群れが行動の意思決定をする際、感覚から得られる情報と個体群のパラメータを組み合わせているらしい。このプロセスは、神経回路と同様なんだとか。
今回の研究を行なったのは、アメリカのロックフェラー大学のクロナウアーとガル。気温の変化に応じてアリのコロニーがどのような行動を起こすのかを調査したとのこと。
すると、コロニーのサイズが大きいほど、避難を開始する温度も高くなることが判明したらしい。群れの数を10匹から200匹にしたところ、避難を決定する温度は36度高くなったんだとか……。
この結果について、クロナウアーとガルは「アリ間の情報伝達に使われるフェロモンが関係している」と述べている。アリの数が多いほど巣の中のフェロモン量も多くなることから、行動の意思決定に変化が生じている可能性があるとのこと。
繰り返しになるが、アリの集団行動と神経回路は似ている。もしかしたら、人間の脳や神経の仕組みをより深く知るには、"外"に目を向ける必要もあるのかもしれない——。
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