グレート・バリア・リーフの汚染源は「地下水」だった
オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁生態系グレート・バリア・リーフの重大な汚染源は「地下水」であることが判明した。
サンゴ礁に流れ込む汚染を制御することは、政府や機関の主要な焦点だ。これまでも、オーストラリア政府や機関によって、リーフに流入する農業排水対策など、リーフの汚染対策は重点的に取り組まれてきた。
そんな中、科学者たちは新たな研究により、大量の汚染物質が地下水に浸透した後、グレート・バリア・リーフに到達していることを発見。これを克服して水質を改善することで、サンゴが地球温暖化による白化現象から回復する可能性が高まると述べている。
しかし、国連の科学者たちは、水質改善の進展が遅いと繰り返し指摘している現状もある。このペースの対処では、リーフが「世界遺産危機リスト」に入る可能性があると警告している。
『Environment Science & Technology』に掲載されたこの研究は、Southern Cross Universityのオーストラリア海洋科学研究所とCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)の科学者が10年もの歳月をかけて調査したものだ。
研究者らは水のサンプルを採取し、汚染の指標となるラジウム同位体を分析。この研究では汚染源は突き止められなかったが、汚染がサンゴ礁に到達するルートが特定されたという。
汚染物質が地下水を介して通過する可能性のある経路は多岐にわたるらしく、このプロセスを管理するには、さらに深い理解をしなければならない。
そのため、これまで政府や諸機関が対策を講じてきたものに対し、「管理アプローチの戦略的転換の必要性がある」とコメントされている。
すでに、州政府と連邦政府は、グレート・バリア・リーフの水質改善に数億ドルを投じることを約束している。大切な自然遺産の脅威への理解を深めるほど、その保護と回復のためにできることは増えるだろう。
潤沢な自然資源に恵まれているオーストラリア。グレート・バリア・リーフは、筆者も人生で一度は訪れてみたい場所です。いま、広大なサンゴ礁が危険にさらされている中で、新たに最大の汚染源が判明したことは、将来的にリーフを守ることに繋がると期待が高まるとともに、今後の政府の迅速な保全対策にも注目していきたいですね。