何者にもなりたくないわたしにニューヨークがくれたもの

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナをこよなく愛する女優・清水みさとさん。

ふたりがどのようにサウナを日常に取り入れ、どんなサ活を楽しんでいるのか。気になりますよね? そこで、ふたりのサウナな日々を「交換日記」に綴ってもらいました。

今回は、みさとさんからリョウコさんへ──。

清水みさと

俳優、タレント。サウナ好きが高じて、「サウナイキタイ」ポスターモデルをはじめ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務め、TBS「世界ふしぎ発見!」など多方面で活躍中。近著に『サウナのぷりンセス』。

リョウコさんへ

 

電気による体の超回復、おめでとうございます!

おすすめを試してくれて、ありがとうございました。“透明の手”が体に入ってくるって、もうそれ、言い得て妙。あれ確実に体の中に手が入ってる!(本当は電気)

そして、あれよあれよとほぐされて、軽くなる体。そのとき初めて「あ、わたし疲れてたんだ」と気づきます。体って、正直ですよね。

遊ぶことも大切だけど、体を置いてけぼりにしちゃだめだなぁと感じて、それなのに忘れちゃったりする毎日です。

そしてリョウコさん、ガチガチすぎてわたしの4倍もの電気を流されていたと聞きました。ちょっとやそっとの電気じゃまったく動かないってことですよね。自分が受けているのを思い出しても、あの4倍だなんて信じられない……。

でもそれくらい、体が頑張ってくれていたってことだ。しばらくは、電気とサウナでどうか労ってください。

わたしもそろそろ行きたいなと予約しようとしたら、ほぼ「満」になってました。体験レポ効果!大至急予約します。



リョウコさんが電力整体で感動している頃、わたしはニューヨークで感動してました。初めてのニューヨークです。

ブルックリンブリッジにて©清水みさと

ずっと行ってみたかった場所なんですが、リョウコさんをはじめ、行ったことのある友人が口を揃えて、「一度は絶対に行くべきだ」と言うので、行っちゃいました。勢いです。


ニューヨークは時期的に、どこもかしこもクリスマスの賑わいで、ロックフェラー・センターの大きなクリスマスツリーをこの目で見たときは、やっぱりしびれちゃいました。

©清水みさと

今までだってもちろん、SNSやニュースで見て存在は知っていたんですが、今本当にわたし、ニューヨークにいるんだっていうその実感がうれしくて、不思議な気持ちにもなりました。

夢にまで見た場所でも、行こうと思えば行けてしまう、「あ、来れちゃった」っていうその簡単さに対してなんでしょうか?

 

ニューヨークに滞在した一週間は、本当に濃厚で、あぁ、何から書けばいいんだろう。ただ、とにかくわたしは、ニューヨークが大好きになりました。

人も街もエネルギーに満ちていて、胸の高鳴りを一度も止めてはくれず、心が揺れる出来事で溢れていました。

©清水みさと

念願だった本場のブロードウェイは、『バック・トゥー・ザ・フューチャー』『MJ The Musical』『& Juliet』の3本を観ました。もっともっと観たかったくらい、素晴らしいものでした。

特に好きだったのは、トニー賞4冠のマイケル・ジャクソンの半生を描いた『MJ The Musical』。

©清水みさと

ステージでは信じられないクオリティのダンスと歌と芝居が展開され、客席は拍手喝采と大歓声。『スリラー』なんて始まったらもう、みんな座りながら踊っちゃう。わたしもノリノリ。隣に座っている知らない人は、もう知らない人なんかじゃなくて、人と人が共鳴しあって生まれる凄まじいグルーヴが渦巻いていました。

ステージと客席のエネルギーで劇場が破裂しそうだったし、人の喜びやしあわせが満ち満ちていて、こうして心が豊かになるんだなって。だからわたしは、エンタメがないと絶対に生きていけない、そう確信しました。

 

「ブロードウェイを観るために、またニューヨークに行きたい!」というように、ニューヨークのあらゆる場所を訪れるたび、またここに来るための言い訳を探しては、おまじないのように唱えました。

映画のロケ地にもワクワクしました。

©清水みさと

『ビッグ』で出てきたおもちゃ屋さん「FAO schwarz」に行き、『ティファニーで朝食を』でお馴染み、5番街の「ティファニー」へ。『34丁目の奇跡』の「メイシーズ」をのぞき、マンハッタンを闊歩しながら『プラダを着た悪魔』を想像して、映画に出てくるカフェ「Bubby's」で朝食を食べました。

美術館は「MoMA」「メトロポリタン美術館」「New Museum」を訪れ、有名な作品の迫力をまざまざと感じ、自分の気になった絵やアートを思う存分見つめました。

©清水みさと

夜、ブルックリンのジャズバーに行くと、漫画『BLUE GIANT』の世界がありました。

©清水みさと

若者がたくさんいて、みんな、カフェに入るようにふらっと立ち寄り、耳を澄ませます。ジャズやカルチャーが、こんなに身近にあるなんて、なんて豊かなんだろうと思わずにはいられませんでした。

 

もちろん、サウナにも行きました。

ニューヨークにもサウナがあって、特に最近、サウナの盛り上がりを見せているんだそうです。わたしが大好きだったのは、ロシア式のバーニャがある「SPA 88」です。

©清水みさと

穴蔵のような、無機質でむき出しの大きなサウナ室は一番上に座っていられないほど熱く、もちろんサンダルがないと地面だって歩けません。

©清水みさと

頑張って6分程度しか入っていられませんでしたが、あの熱さの中で、わたしが2セット目に突入してもまだ入っている屈強な男性たちがいて、「日本にはたくさんサウナがあるんだよね。いつか行きたいと思ってるんだ」と話してくれました。もちろん水風呂はシングルです。

©清水みさと

こんなにアツアツのサウナ好きに勧めるとなると「オールドルーキー」や「玉の湯」「大垣サウナ」なんでしょうか?

ちなみにSPA 88、世界最大の金融街ウォール・ストリートの地下に隠れていました。やっぱりサウナは、あるべき場所にある!



旅先での出会いは本当に嬉しいものです。ひとりでいると、いろんな人が写真を撮ってくれたり、話しかけてくれたり、ニューヨークの人たちのフレンドリーさが自分にはぴったりでした。

その一方で、世界中からトップを目指すひとたちが、このニューヨークという場所で戦っている。その圧倒的な姿形が、自分の見てる世界の小ささと、世界の大きさを教えてくれました。


「わたしの本当にやりたいことってなんだろう」そう思わずにはいられませんでした。わたしは、いろんなことをやっているけれど、「もし、わたしがニューヨークで戦うとしたら、それはなんなんだろう」そんなことを今も、考えています。

別に戦わなくたっていいんですけど、頑張ることの美しさを、ニューヨークで目にしたから。

わたしはいつまでもなにものかになりたくなくて、でも、自分のやりたいことの解像度をなにかを頑張ることでもう少しはっきりしてみるのもいいかもしれないと思ったのでした。

追い求めた先でしか見れない景色があるはずだから。

©清水みさと

ニューヨーク、また行きたいです。

Wall Street Bath & Spa 88

【住所】88 Fulton St, New York, NY 10038 アメリカ合衆国
【公式ページ】http://www.wallstreetbath.com/en/

Top image: © 清水みさと
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。