日本の「フェアトレード市場規模」、10年で2.2倍に

日本国内のフェアトレード市場規模が、2023年に初めて200億円を超えたそうだ。

この成長については、国内でのフェアトレードの普及・啓発活動を行う認定NPO法人「フェアトレード・ラベル・ジャパン」が先月発表した、最新のレポートであるフェアトレード国内市場動向2023が伝えている。

同レポートによると、2023年は前年比+7.6%の市場規模211億円に成長となり、10年前の2014年が94億円と比較すると2.2倍に増加。国民一人当たり年間購入額は74円から169円(2023)となり、10年間で倍増しているとのこと。

コーヒーやチョコレートを筆頭に
過去10年で倍増

©特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

成長の要因としては、コーヒー市場が前年比108%の堅調な伸びを見せ、カカオは、輸入チョコレートの商品数や販売店舗が拡大したことも市場拡大を後押し前年比104%を記録。この理由として、プライベートブランドの商品数や販売量が拡大したことが挙げられる。また、バナナについては小売店等販路が拡大したことにより、前年比110%とこちらも右肩上がりの様子。

2023年時点で
SDGs認知率は9割突破

市場拡大の背景には、直近の政府・産業界における“サプライチェーン上の人権への配慮を求める動きの急速な活発化”があるようだ。電通「SDGsに関する生活者調査」によると、2023年にSDGs認知率は9割を突破するなど、国内における認知や報道の急上昇により、消費者にとって日常生活における社会貢献がより身近となったこともある。

そして、フェアトレード商品に対して、消費者からのニーズ拡大や、人権問題に加えて気候変動を含む環境問題など、幅広い課題にアプローチできることも市場拡大の背景と推測される。

それでも……
欧米諸国と比べると1/17

©特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

今回のレポートで日本市場の成長がわかった一方で、ドイツと日本の市場規模を比較すると、ドイツは3250億円と、じつに日本の約17倍。一人当たりの年間購入額が最も多いスイスと年間購入額を比較すると、スイスは1万4400円と日本の約92倍というデータがある。

意識や認知の高さに加え、投資家や市民社会からのリクエストを受けてフェアトレードを取り入れる企業の積極的な姿勢も、フェアトレード先進国と日本の差を生みだしている要因かもしれない。

しかし、前年比でいえばその差はまだ大きいものの、堅実に縮んできている。今後の日本市場の躍進は世界からの期待も大きいのではないか。

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