「秘密の合図」を使ってスーパーで異性と出会う方法。スペインで話題
タップ、いいね、スワイプ、そして気まずいメッセージのやり取り……。不毛な無限ループによる「マッチング疲れ」に悩む人が増えている。そんななか、スペインでは、若者たちの間で“スマホを使わない”マッチングスタイルが、この夏大きな話題となったようだ。
庶民派スーパーがマッチング会場
独自ルールで意中のお相手を見つける
スマホ不要のマッチングスタイル、ことの発端は女優でコメディアンとしても活動するあるスペイン人女性がTikTokに投稿した、1本の動画。
どうやら男女の出会いの場はアプリの画面上ではなく、スペインの庶民派スーパー「メルカドーナ」店内のようで、マッチングにはある独自のルールが存在するようだ。
まず、マッチングを希望する人は午後7時から8時のあいだに入店。“秘密の合図”としてパイナップルのクラウン(葉っぱの部分)を下向きに買い物かごに入れ、そのあとワイン売り場を巡る。同じ行動をとった気になる相手を見つけたら、お互いの買い物かごをぶつけ合うことで意思を示す。これでマッチング成功となるらしい。
運命の出会い、というわけにはいかなそうだが、リアルな緊張感をライブ感覚で味わえると、若い世代で一気に火がついた模様。けれど、革新的なアイデアである反面、TikTokという巨大プラットフォームでのトレンドは、同時にさまざまな弊害も。
夜間、メルカドーナに未成年の若者たちがおもしろ半分で大挙して押し寄せたことで、警察を巻き込む騒動に発展。買い物目的でないスーパーの利用や商品をぞんざいに扱う可能性にも疑問符がつくが、結果として騒動以後、メルカドーナで懇意の相手を見つけるトレンドも急速に衰退していくことに。
アプリを捨てよ、町へ出よう。
マッチングにおける新たな波
こうして、「メルカドーナ」でのマッチングはあえなく終わりを迎えたが、スーパーマーケットを出会いの場と捉える風潮はスペインだけのものでもないようだ。今年初夏にご紹介したテキサス州のスーパーマーケットチェーン「H-E-B」でのデートイベントのような例もある。
買い物や食を通して会話のきっかけが生まれたり、コミュニケーションがさらに広がる可能性もある。なにより生活圏が近い者どうしのマッチングが成立しやすいということが利点となるケースもあるはずだ。
幾重にもフィルターがかけられているかもしれない理想の相手よりも、より身近に感じられるスーパーでの出会い。こうしたスーパーを“出会いの場”と捉えるリアルな接触が、マッチングにおける新たなスタンダードになっていくのだろうか?