さよなら、愛しのDairy Milk──Cadburyが王室御用達落選で見えた、世界の変化
「ミルクチョコレートといえばDairy Milk!」 そう答える人も多いはず。 1824年から続く老舗チョコレートブランド、Cadbury。 170年以上もの間、英国王室御用達として愛されてきたブランドが、なんとその称号を失うという衝撃的な出来事が起こりました。 The Guardianの報道によると、今回の発表で、Cadburyを含め100以上のブランドが王室御用達のリストから外れることになりました。 一体、Cadburyに何が起こったのでしょうか? そして、これは私たちに何を問いかけているのでしょうか?
170年の歴史に幕。Cadbury落選の真相
Cadburyと英国王室の関係は、1854年にヴィクトリア女王から初めて認定を受けたことに始まります。 以来、エリザベス2世女王のお気に入りだったという話もあるほど、英国王室から長きにわたり愛されてきました。 The Guardianによると、2023年末には、Cadburyの親会社であるMondelēz UKの年間利益は8810万ポンドを記録しています。 これは前年比で3分の1も減少した数字であり、業績不振が囁かれていたのも事実です。
「ロシア事業継続」が落選の決定打?
Cadbury落選の理由は、公式には発表されていません。 しかし、いくつかのメディアは、Cadburyの親会社であるMondelēz Internationalが、ロシアでの事業を継続していることを指摘しています。 The Telegraphによると、市民団体B4Ukraineは、Mondelēz Internationalに対し、ロシアでの事業継続を理由に、王室との関係を解消するように求めるキャンペーンを行っていました。 ウクライナ侵攻後、多くの企業がロシアから撤退する中で、Mondelēz Internationalは事業を継続しています。 この判断に対しては、倫理的な観点から批判の声も上がっていました。 B4Ukraineは、6月のチャールズ国王の誕生日に先立ち、「ウクライナで苦しみと破壊に寄与している企業に、王室御用達の特権と名誉を与えるべきではない」と訴える書簡を国王に送っていました。 企業倫理が問われる時代、王室御用達という称号は、もはや単なるステータスシンボルではなくなっているのかもしれません。
変化の兆し? 王室御用達が問いかける、これからの企業像
今回のCadburyの落選劇は、私たちに多くのことを考えさせてくれます。 企業は、利益を追求するだけでなく、倫理観や社会貢献といった面も重視していく必要性が高まっているのではないでしょうか。 これは、SDGsやESG投資といった言葉が世界的に注目されていることとも無関係ではありません。 私たち消費者は、日々の生活の中で、どのような企業を支持し、どのような未来を創造していくのか、改めて問われているのかもしれません。