一杯のコーヒーに、ネパールの未来を灯す。ある「挑戦」が描く、新たな希望の風景
毎日の生活に、彩りや安らぎを与えてくれるコーヒー。その一杯が、遠く離れた土地の未来を、そして地球全体の課題解決に繋がるかもしれないとしたら……。
これは、ヒマラヤの麓、ネパールの一つの村から始まった、小さな、しかし確かな希望の物語。既存の価値観にとらわれず、新しいアイデアや体験を求める人たちにこそ知ってほしい、一杯のコーヒーに込められた情熱と、私たちが共に描ける未来について。
ネパール発、2400本の植樹が目指す未来
「BIKAS COFFEE VILLAGE」の挑戦
雄大な山々に抱かれた国、ネパール。その美しい自然の裏側で、多くの農村は貧困や若者の流出という深刻な問題に直面している。
世界銀行の2023年のデータによれば、ネパールの一人当たりGDPは約1337ドル。依然として経済的な基盤が盤石とはいえない状況が続く。特に、国土の多くを山岳地帯が占めるこの国では、農村部における現金収入の機会は限られ、若年層の多くがよりよい収入を求めて海外へ出稼ぎに出るという現実は根深い。

そんな現状を変えようと、ハルパン村で産声を上げたのが「BIKAS COFFEE VILLAGE」プロジェクト。合同会社「BIKAS COFFEE」によると、この取組みはコーヒー栽培を通じて、村に経済的基盤を築き、若者が希望を持てる故郷を再生することを目指している。
特筆すべきは、その農法へのこだわり。化学肥料や農薬に頼らず、森林を守りながら多様な作物を育てるアグロフォレストリー農法を推進。これは、持続可能な農業の実践であり、地球環境への配慮でもある。
BIKAS COFFEEによれば、これまでのクラウドファンディングなどで、ハルパン村にはすでに470本のコーヒーの木が植えられた。そして今、新たなステージへ。
カブレ・パランチョーク郡にある標高1500mのダリンボット村を含む地域へ、過去最多となる2400本のコーヒー植樹という大きな目標を掲げている。この植樹が実現すれば、年間で最大約30トンの二酸化炭素吸収が見込まれるという。これは、ガソリン車約13台分の年間走行距離、または東京-大阪間の飛行機片道移動300回分に相当するインパクト。小さなアクションが、確かに地球を健やかにしていく。

地球とコーヒー豆の未来
「2050年問題」と消費者の選択肢
このネパールでのコーヒー栽培の挑戦、じつは私たち自身の未来とも深く関わっている。
「コーヒーの2050年問題」という言葉をご存じだろうか。気候変動の影響で、現在アラビカ種コーヒーが栽培されている土地の最大半数が、2050年までに栽培不適格地になる可能性があるという衝撃的な予測だ。
私たちにとって身近なコーヒーが、将来飲めなくなるかもしれない……そんな未来を避けるためにも、ネパールのような高地での持続可能な栽培は、ひとつの光明となり得る。
そして、こうした背景と共に高まっているのが、エシカル消費やフェアトレードへの関心。一般社団法人日本「フェアトレード・フォーラム」の調査によれば、日本のフェアトレード市場規模は右肩上がりに成長し、2024年には推定215億円に達し、この10年で倍増したという。
同調査によると、その中でもコーヒーは主要製品で、市場全体の78.2%を占める。この数字は、単に「安いから」「美味しいから」だけでなく、「誰が、どこで、どのようにつくったのか」という背景を重視する消費者が増えていることの証左ではないだろうか。
ネパールの村で、一本一本大切に植えられるコーヒーの木は、農作物以上の価値を生み出す。それは、村人たちにとっては安定した収入源であり、子どもたちにとっては教育を受けるチャンスであり、そして私たち消費者にとっては、日々の選択を通じて社会貢献できるという実感。
コーヒーの木を植えることは、未来を植えることと同義語といっても決して過言ではないのでは?

一杯のコーヒーから
世界を変えるアクションがはじまる
ネパールの山村から始まったこの物語は、私たちに問いかける。日常の中で手にする一杯のコーヒーが、地球の裏側の誰かの笑顔や、環境保全に繋がっているという事実を。そして、クラウドファンディングという現代的な仕組みを通じて、誰もがこの物語の共著者になれる可能性を。
生産者と消費者が、互いの顔が見える関係で結ばれる。それは、単なる売買を超えた、温かい心の繋がりだ。このコーヒーが育むのは、豊かな風味だけではない。人と人、人と地球を繋ぐ、希望そのもの。
世界は、私たちが思うよりもずっと、個人の小さな選択で動いていくのかもしれない。ネパールのコーヒーが教えてくれるのは、そんな確かな手応えと、未来への楽観だ。次の一杯を選ぶとき、あなたならどんな物語を選びますか?

『想いを植えるコーヒー植樹』
【募集期間】2025年5月23日(金)18:00〜6月29日(日)23:59
【支援金用途】現地管理費、農業支援費、コーヒー豆輸入関連、国内加工(焙煎・グラインド・パッキング・輸送など)、今後の事業拡大に向けた資金に充てさせていただきます。
【プロジェクトページ】https://camp-fire.jp/projects/848252/view