英国で『聖書』の売上が過去最高を更新、Z世代が反体制的な価値観としてキリスト教を再発見する新しい潮流
英国の出版業界において、長らく低迷していた聖書の販売が劇的な回復を見せている模様だ。
2025年の集計によれば、売上額は統計開始以来の最高水準に達したとのこと。かつての世代とは異なり、宗教的な背景を持たない若年層が購入層の中心となっている様子がうかがえる。
記録的な売上増加と若年層における教会出席率の上昇
『The Guardian』の報道によると、SPCK Groupの調査により2025年の英国における『聖書』の売上高は630万ポンドに達したという。
これは2019年比で134パーセントもの大幅な増加であり、過去最高の数字を記録したらしい。ウェストミンスター寺院近くの書店でリテール・セールス・ディレクターを務める Aude Pasquier 氏は、親から信仰を受け継いでいない若者が一から聖書を求めて来店するケースが増えているとの指摘だ。
イングランドとウェールズでは教会の出席数も2018年比で5割増加しており、18歳から24歳の層で最も伸びが顕著な状況。
インフルエンサーの影響と精神的な充足を求める若者の心理
こうした現象の背景には、SNSを通じた情報発信が大きく寄与しているとの見方が広まった。
同紙の取材に対し、バッキンガムシャーで書店を営む Steve Barnet 氏は、Jordan Peterson 氏の影響で精神的な探求を始める若者が目立つと語っている。
複雑化する現代社会やAIの台頭、メンタルヘルスの危機に直面し、人生の意味を問い直す手段として宗教的なテクストが選ばれている模様。
かつてのリチャード・ドーキンス氏らに代表される「新無神論」が主流だった時代から、現在は信仰を持つことが一種の魅力的な選択肢として映っている背景。
宗教が持つ新たな社会的価値とデジタル世代の回帰
無宗教な環境で育った世代にとって、キリスト教は自動的に拒絶する対象ではなく、探索すべき未知の領域へと変化した模様。
SPCK Groupの最高経営責任者である Sam Richardson 氏は、SNSが個人の精神的な旅路を可視化したことが普及の一因だと分析している。
パンデミックや世界情勢の不安定化を経て、古くからの教えに普遍的な価値を見出す人々は今後も増えていくのかもしれない。
若年男性を中心に広がるこの潮流が、英国の文化的な風景をいかに塗り替えていくのか注目される様子。






