TikTokが睡眠の質を下げる? Z世代の6割が陥る「寝る前の夜食習慣」

健康食アプリを提供するLifesum社が2026年6月に発表した調査が、ちょっとドキッとする現実を突きつけています。Z世代の約6割が、ベッドの中でTikTokをスクロールしながら間食をしている──。同社はこの行動を「TikTokスナッキング」と名づけ、いま若い世代の睡眠を最も蝕んでいる習慣だと警鐘を鳴らしました。

ストレスを超えた「新しい不眠の正体」

眠れない夜の原因といえば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは仕事や人間関係のストレスではないでしょうか。ところが、Lifesumの調査では意外な逆転が起きていました。

「どの行動が最も睡眠を妨げているか」という問いに対し、TikTokのスクロールと答えた人が29.5%で堂々の1位。ストレスや考えすぎ(19.4%)を10ポイント以上も引き離しています。つまり、Z世代にとって睡眠の最大の敵は「心の問題」ではなく「指先の習慣」に変わりつつあるのです。

しかも注目すべきは、スクロールと間食がセットになっている点でしょう。Z世代の60.1%が夜間のTikTok視聴中に何かを食べており、その内訳は甘いもの(28.8%)としょっぱいもの(28.9%)がほぼ半々。栄養を摂るためではなく、心地よさを求めて手が伸びている──いわば「コンフォート・スナッキング」の様相です。

「やめられない」は意志の弱さじゃない

ここで少し立ち止まって考えてみたいのですが、この現象を「自己管理ができていない」と片づけるのは、おそらくフェアではありません。

ショート動画のアルゴリズムは、次々と「あと1本だけ」を促すように設計されています。そこに甘いお菓子やスナック菓子が手の届く場所にあれば、脳はデジタル刺激と食の快楽という二重の報酬を同時に受け取ることになります。この複合的な快楽ループは、個人の意志力だけで断ち切るにはなかなか手強い相手です。

近年、行動科学の分野では「環境のデザインが行動を決める」という考え方が広まっています。寝室にスマホを持ち込まない、枕元にお菓子を置かないといった物理的な工夫は地味に見えて、実は意志力に頼るよりもずっと効果的かもしれません。

Lifesumの栄養士ヴィクトリア・ストランドルンド氏も「深夜のスクリーン使用を減らし、栄養に気を配るといった小さな行動変容が睡眠の質を改善できる」と述べており、大きな決意よりも小さな環境調整の積み重ねを推奨しています。

栄養×睡眠×心の「統合ケア」へ

興味深いのは、この調査結果がビジネスの動きにも直結している点です。Lifesumはメンタルヘルス領域で知られるCalm社との新たなパートナーシップを発表しました。栄養管理アプリとマインドフルネスアプリが手を組むことで、「食事」「睡眠」「心の安定」を横断する統合的なウェルネス体験を目指すとのこと。

これまで、栄養管理は栄養管理アプリで、瞑想は瞑想アプリで、睡眠は睡眠トラッカーで──と、ウェルネスツールは縦割りになりがちでした。しかし「TikTokスナッキング」が示しているのは、スクリーン・食事・睡眠が一つの行動連鎖としてつながっているという事実です。問題が複合的であるなら、解決策もまた複合的であるべきだという発想は、とても理にかなっているのではないでしょうか。

「寝室の風景」を変えてみる

同調査ではほかにも、Z世代とミレニアル世代の47.9%が毎晩ベッドでSNSをスクロールしていること、25.3%が就寝3時間以内にほぼ毎晩アルコールを摂取していることなど、現代の「眠れない夜」の輪郭が浮かび上がっています。

もし最近、朝の目覚めがすっきりしないと感じているなら、まずは今夜の「寝室の風景」を少しだけ変えてみるのはいかがでしょう。スマホの充電場所をベッドから離す、お菓子をキッチンに戻す。たったそれだけのことが、明日の朝を変える最初の一歩になるかもしれません。

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