メンタル不調時、相談先の2位はもう「AIチャット」らしい
株式会社Awarefyが運営する「こころの総合研究所」が、日本在住の約950名を対象にした調査の分析結果を公開しました。テーマは「AIに相談すると、専門機関を受診しなくなるのか?」。よく聞く懸念ですが、行動データが見せた実態は、想像とはちょっと違うものでした。
メンタルの悩み、4割がすでにAIに打ち明けている

メンタルケアについて「相談したことがある」先を聞くと、1位は家族・友人・同僚など身近な人で56.4%。ここまでは直感どおりです。
驚くのは2位。AIチャットが41.1%で、医療機関(精神科・心療内科など)の22.2%を大きく上回りました。
さらに「次に相談したい先」ではAIチャットが23.4%でトップに立ち、医療機関や身近な人を逆転しています。
つまり、メンタルの悩みをAIに打ち明けることは、もう「先端的な試み」ではなく、ごく普通の選択肢になりつつあるということです。
AIを入口にした人は
本当に受診しなくなるのか

ここが今回の調査の核心です。
過去1年間にメンタル不調を感じた669名のうち、最初にAIチャットに相談した人の医療機関到達率は11.8%でした。
一方、不調を感じた人全体の医療機関到達率は15.1%。最初に「何もしなかった(様子を見た)」人の到達率は11.3%です。
つまり、AIを入口にした人の受診率が、全体と比べて大きく下がるという傾向は確認されませんでした。「何もしなかった」人とほぼ同水準です。
むしろ注目すべきは、現在メンタルヘルスの専門的支援を受けている人のうち55.3%がAIを併用しているという事実。AIは専門家の「代わり」ではなく、日常的に「並走する相談相手」として使われている姿が浮かび上がります。
AIにすら届かない人が
いちばん孤立している

もうひとつ、この調査が照らし出した重い数字があります。
不調時に「何もしなかった」と答えた142名のうち、64.8%は最終的にもどこにもつながれていませんでした。
自由記述には「本当に不調の時は何もできない」「相談することが恥という印象がある」「どの段階で専門機関に行くべきか分からない」といった声が並んでいます。
この声を読むと、問題の本質が見えてきます。AIが受診を妨げているのではなく、AIにすらたどり着けない人がいる。心身のエネルギーが落ちた状態では、「自分で調べて、自分で選んで、自分で動く」こと自体がとてつもなく高いハードルになるのです。
精神的健康度が低い層では、相談先の1位がAIチャットに逆転するというデータもありました。ただしこれは「AIが積極的に選ばれた」のではなく、身近な人への相談経験が有意に少なかったことによる逆転です。人に頼れないから、AIが受け皿になっている。
AIは「敵か味方か」ではなく、ケアの流れに入るための入口のひとつ。でも、その入口にすら立てない人をどう支えるかは、AIだけでは解けない問いです。
「最近ちょっとしんどいな」と感じたとき、あなたは誰に——あるいは何に——最初に声をかけますか? その選択肢が一つでも多いことが、たぶん大事なのだと思います。






