位置情報共有は安心か監視か。Z世代の81%が「プライバシー」と回答
恋人や友人と位置情報を共有している人は、少なくないと思います。「お互いの安全のため」「待ち合わせがラクだから」——そんな軽い気持ちで始めたはずのその習慣が、いつの間にか息苦しさの原因になっていたとしたら。
Z世代当事者によるシンクタンク「Z-SOZOKEN(Z世代創造性研究所)」が、18歳〜24歳の418名を対象に実施した調査が、その実態を数字で浮き彫りにしています。
「防犯のため」が、
「監視されている」に変わるまで


位置情報共有アプリを使い始めたきっかけとして最も多かったのは、「防犯・安全のため」で37%。次いで「友人からの招待」が25%、「待ち合わせの便利さ」が22%でした。
動機だけを見れば、どれも合理的です。
ところが、実際に使い続けた先で起きていることは、まるで違う風景でした。57%が「自分の生活を監視されている」と感じ、54%が「愛情より監視の側面が強い」と答えています。
安心を手に入れるために始めたツールが、半数以上にとって不安の装置に変わっている。この反転こそが、今回の調査で最も象徴的なデータではないでしょうか。
40%が経験した
「つかなくてもいい嘘」の正体

さらに印象的なのは、位置情報アプリの存在によって「つかなくてもいい嘘」をついた経験がある人が40%にのぼるという結果です。
「嘘」と聞くと、後ろめたい行為を想像するかもしれません。でも、Z-SOZOKEN所長の竹下洋平氏はこう分析しています。
「単なる不誠実ではなく、自分の行動を自分で決める余白を守ろうとした結果かもしれない」。
つまり、ひとりでカフェに寄りたい、少し遠回りして帰りたい——そんな些細な「自分だけの時間」を確保するために、嘘という手段を選ばざるを得なくなっている可能性があるのです。
実際、26%が位置情報アプリを原因に友人や恋人と喧嘩になった経験があると回答しています。81%が位置情報を「個人のプライバシー」と認識しているにもかかわらず、共有を断ることが難しい空気がある。この矛盾が、関係性に静かな摩擦を生んでいるようです。
「共有しない自由」こそが、
信頼のかたちかもしれない

興味深いのは、現在の利用状況です。48%が今も利用中である一方、52%は「以前は利用していたが、やめた」と答えています。過半数が一度は離脱しているのです。
竹下氏は「位置情報共有は愛情の証明」という空気をつくらないことの必要性を指摘し、「共有する自由と共有しない自由の両方が尊重されることが、安心できる関係につながる」と述べています。
「居場所が見えること」と「信頼していること」は、本来イコールではないはずです。相手の見えない時間を想像で埋めず、そのまま受け入れられること。それこそが信頼の本質なのかもしれません。
もし今、誰かの青い点をつい確認してしまう自分に気づいたら、それは相手ではなく、自分自身との関係を見直すサインなのかもしれません。






