飲酒運転で有罪判決が下ったオーストラリアの男性。痛み止めにジンを飲んでまで、病院に急行した理由とは?
オーストラリアで、飲酒運転などの罪に問われていた男性が、最高裁で行われた上訴審で敗訴し、話題になっている。
ただの飲酒運転ならば、これほどまでの騒ぎにはもちろんならないだろう。が、この男性なんと、「チェーンソーで手を負傷した後に、自分で傷を縫合し、痛み止めにジンを飲んで、運転して病院に向かっていた」ときに警察に捕まったのだ。
驚嘆すべきサバイバル精神
この逞しき男性はオーストラリア南部、ポート・ウィランガ在住のTimothy Withrowさん。
昨年の2月、自宅でチェーンソーを使用している際に、誤って手を負傷してしまった。
Withrowさんは、2つの病院の救急病棟に電話したが、「混み合っているため、処置を受けるには10時間以上待つ必要がある」と言われた。
痛みに耐えながら彼は、普通の人ならきっと二の足を踏んでしまう、次善の策を展開する。
太い縫い針と釣り糸を使って、自ら傷を縫合。傷跡をジンで消毒し、痛み止めとしてさらにジンをあおった。
その後、妻とも連絡が取れず、さらに救急車の料金を支払うこともできないWithrowさんは、やむを得ず自分で運転して病院に向かうことを決心した(※オーストラリアの救急車は、日本と異なり有料である)。
だが飲酒運転で捕まる・・・
Withrowさんは、一時停止の標識を無視した所で、警察に止められた。彼は飲酒運転を含む複数の運転違反の罪に問われ、また即座に免許停止処分を受けた。
彼は裁判で罪状を認めたものの、違反行為は「ささいなこと」とであるとして量刑の軽減を求めて上訴していた。
だが最高裁のKevin Nicholson判事は、第一審の判決は妥当であるとして、彼の訴えを退けた。
第一審の判決では、彼には救急車もしくはタクシーを呼ぶか、近隣の人々に助けを求めるなど、自ら運転する以外の手段があったとされていた。
Nicholson判事は地元メディアに対して、判決について次のように語った。
彼は自身だけでなく、他の道路利用者たちを、明らかな危険にさらした。彼の勇気、そして痛みに対する忍耐は尊敬に値するが、彼の下した判断は尊敬できないものだ。
なるほど、言われてみれば確かに妥当な見解。それでも必死に頑張ったWithrowさんには、なかなか酷な判決ではないだろうか?