「月経カップ」で生理ハック!メーカーに聞く正しい使い方とメリット、デメリット

第3の生理用品といわれ日本でもじわじわと知名度が上がりつつある「月経カップ」。

「もうナプキンやタンポンには戻れない」

「ムレやニオイが気にならなくなった」

「もっと早く知りたかった」

愛用者からはこんな声が多数挙がっており、まだ使用したことない人にとっては気になる存在。

今回はそんな月経カップについて、メリット・デメリット、正しい使い方とメンテナンス方法まで網羅的に解説します。質問をぶつけるのは、世界初の純日本製月経カップ『ROSE CUP』を製造するメーカー「株式会社イマリ」さん。

月経カップであなたも「生理ハック」をしませんか?

第3の生理用品「月経カップ」とは?

第3の生理用品「月経カップ」(生理カップ)とは?
©iStock.com/Elena Feodrina

インタビューにうつる前にまずは月経カップの一般的な知識をおさらいしておきましょう。

月経カップ(別名:生理カップ)とは、医療用シリコンなどでできたナプキン、タンポンに替わる生理用品

英語では「menstrual cup」と呼ばれ、主に欧米圏で製造・販売されています。鈴のようなカタチのカップを、タンポンと同じように膣の中に入れて経血を溜める仕組み。

従来の生理用品の使用時に感じるムレやニオイなどを軽減してくれる快適さ、繰り返し使えるコストパフォーマンスの良さが魅力です。日本ではまだまだ知名度の低い月経カップですが、じつは海外では昔からごく一般的に使用されている生理用品なのです。

月経カップはいつからあるの?

──第3の生理用品といわれる月経カップですが、いつからあるんですか?

 

約80年ほど前です。1937 年にアメリカのレオナ・カルマーズという女性によって開発されたラテックス(ゴム)製のカップが最初の月経カップといわれています。

 

──私は最近月経カップの存在を知りましたが、そんなに前からあるんですか!

 

でも、第二次世界大戦中にラテックスが不足が発生し、生産中止となったようです。戦後1950年代初期に、カルマーズは硬いラテックスを柔らかくするなど改良を加えましたが、そのころの多くの女性は、腟内に挿入することや洗って繰り返し使うことに対して抵抗があったため、あまり普及せずに消えてしまったんですよね。

また同時期に、使い捨ての生理用品が登場したため、多くの女性は経血を洗って繰り返し使用するカップよりも手軽な使い捨ての生理用品を好むようになりました。

 

──今主流になっている使い捨ての生理用品よりも、月経カップの方が歴史が長いんですね。

 

そうなんです。その後、1980年代後半に新しい月経カップが登場しました。このカップもラテックス製で、現在も市場に残っています。

が、ラテックスは乾燥すると亀裂が入り耐久性がない、ラテックスアレルギーの女性は使用できないことから、21世紀初めに、新しい素材の医療用シリコンが月経カップに導入され、多くのブランドが誕生しました。

シリコン製の月経カップは耐久性と安全性、また素材のやわらかさから、多くの女性に受け入れらるようになったんです。現在では欧米を中心に、世界中の女性に使用されるようになりました。

 

──日本で使われるようにようになったのはいつごろなんですか?

 

個人でも海外から取り寄せられる時代ですし、いつごろっていうのははっきりしていないです。ただ、2015年の時点では、月経カップは厚生労働省の医療品医薬機器等法に該当していなかったんですよ。

なので、弊社で認可申請を行い、月経カップを一般医療機器として認知させました。

 

──日本で認可されたのは最近なんですね。

 

そうなんです。その約2年後の2017年に世界で初めてメイドインジャパンの月経カップ 「ROSE CUP(ローズカップ)」が誕生したというわけです。

月経カップのメリット

月経カップのメリット
©photopixel/Shutterstock.com

メリットその1 | お財布にやさしい!

──ナプキンやタンポンではなく、月経カップを使うことのメリットってずばりなんですか?

 

人によって違うかもしれませんが、1番のメリットは「経済的」なことでしょうか。

ピルを飲んだりしていない場合、女性には毎月生理がやってきますよね。個人差はありますが、一般的に13歳に初経を迎え51歳で閉経すると言われています。仮に、13歳から51歳まで39年間生理が続いた場合、468回の生理がくる計算になるんですよ。

 

──468回も!?

 

ナプキンもタンポンも安くはないですから、生理用品にかかる費用ってばかになりませんよね。その点、月経カップの相場は5000円前後です。1度買えば数年〜10年ほど(ブランドによって異なる)使用できるので経済的といえると思います。

あとは、サステイナビリティの観点からも月経カップは魅力的です。

メリットその2 | 地球にやさしい!

──どういうことですか?

 

仮に1回の生理で平均20枚のナプキンを使用したとして、日本だけでも廃棄されるナプキンやタンポンは年間約60億個にもなるといわれてるんですよ。
ゴミが少ない月経カップを広めることで、年間約60億個廃棄されるナプキン・タンポンをなくし、サステイナブルな社会を目指す活動を展開していければと思っています。

メリットその3 | とにかく快適!

──そのほかにメリットはありますか?

 

あとは、ムレやかぶれ、生理特有のニオイから解放されるのも大きなメリットです。漏れの心配も少ないので生理中でもお洒落できます。そういった生理の不快感が軽減されることで、生理に対する考え方が前向きになる人も多いです。

また、使用感の話とはズレますが、経血の色や状態を確認できるので、健康状態をセルフチェックできるというのもメリットといえると思います。

月経カップのデメリットとリスク

月経カップのリスクとデメリット
©iStock.com/Elena Feodrina

──月経カップのメリットについてはわかりましたが、デメリットやリスクもありますか?

 

まずデメリットは、着脱に慣れるまでが大変、初期費用がかかる、消毒が面倒といった点でしょうか。

着脱については、初めてでも問題なく挿入できるできる人もいれば、何時間もかかかってしまったという人もいるようです。

初期費用はかかりますが、使い続けることでトータルでみれば経済的といえるでしょう。

あとは、月経カップは必ず消毒が必要なので、メンテナンスを面倒に感じてしまう人にとってはデメリットになるでしょうね。

 

──リスクについてはどうでしょう?


月経カップの使用による「トキシックショック症候群(TSS)」に関するリスクが、先日ニュースに取り挙げられていましたが、月経カップを使用した人のなかでTSSの症例は2例のみだと認識しています。

たしかに、月経カップの使用中にTSSを発症する可能性はありますが、重要なことは、この2例はいずれもカップのメーカーが示している最長使用時間である 10〜12時間をはるかに超えているという点です。なんと7日間もカップを腟内に放置していたそうです。

TSSは不衛生な状態で発症する一種のショック症状で、タンポンの不適切な使用や傷を不衛生な状態で放置するなどの、あらゆる状況で発症する可能性がある症状です。月経カップでも発生の可能性はゼロではありませんが、正しい使い方をすればTSSの発症はかなり低いといわれています。

TSSのリスクに関しては、メーカー側でも正しい使い方の啓発で対応していきたいと思っています。

月経カップのサイズ、選び方について

──海外製品を含めいろいろなブランドが月経カップを出していると思うんですが、どれを選んだらいいんでしょう?年齢や出産経験、月経量によって、選ぶべきサイズは変わってきますか?

 

年齢や月経量に関わらず一般的にいわれているのが、出産経験のある方や量が多い方が大きめのサイズ、出産経験のない方は小さめサイズと言われています。

 

──なるほど。硬さについてはアドバイスはありますか?

 

初めて月経カップを使用される方は、カップがやわらかい方が折りたたみやすく使いやすいです。でもその反面、柔らかいと膣内でしっかりと広がりにくいため漏れの原因にもなってしまいます。慣れないうちは大変かと思いますが、比較的縁がしっかりとした月経カップの方がおすすめですよ。後々使い心地に差が出るかと思います。

月経カップの使い方とスムーズな入れ方

──月経カップの使い方やスムーズな入れ方について教えてください!

 

月経カップは折りたたんだ状態で膣内に入れて、膣内で広がったカップに経血を溜めて使います。

入れ方としては「U字型の挿入方法」や「つぼみ型の挿入方法」が一般的です。

U字型の挿入方法

月経カップの挿入方法「U字型」
©ローズカップ公式ストア

つぼみ型の挿入方法

月経カップの挿入方法「つぼみ型」
©ローズカップ公式ストア

そのほかにもカップを平らにつぶして、横から見た時に数字の「7」になるセブンフォールドや、 ダイヤモンド型に折り畳むハーフダイヤモンドなどがあります。

専門家に聞いた正しい「メンテナンス方法」

──月経カップの正しいメンテナンス方法について教えてください!

 

生理期間中初めて使用する時と、生理期間が終わって収納する前は必ず煮沸消毒をおこなってください。 もちろん、取り出す度に煮沸消毒をおこなっても問題ありません。

煮沸消毒には、お鍋で煮沸する方法と電子レンジで煮沸する方法があります。 ROSE CUPの別売のオプションの電子レンジで使用できる洗浄カップ「CLEAN CUP」だと簡単に煮沸消毒ができるのでおすすめです。

 

──煮沸は生理前と生理後の2回がマストということですね。生理期間中のメンテナンスはどうしたらいいのでしょう?お風呂に入ったついでに、ボディソープで洗うのはOKですか?

 

ボディソープで洗っている方もいらっしゃいますが、お肌に刺激の少ない無香料せっけんで洗うことをおすすめしています。

 

──なるほど......。あと、外出先では月経カップを洗う場所に困ると思うのですが、なにかいい方法はありますか?

 

トイレの個室などに水洗い場がない場合は、無香料のウェットティッシュ、もしくはペットボトルなどに清潔な水を用意して洗浄するといいですよ。

 

まとめ

【月経カップの概要】

・月経カップ(別名:生理カップ)とは、医療用シリコンなどでできたナプキン、タンポンに替わる生理用品
・鈴のようなカタチのカップを、タンポンと同じように膣の中に入れて経血を溜める仕組み

【月経カップのメリット・デメリット】

・繰り返し使えるので経済的でサステイナブル(メリット)
・ムレやかぶれ、ニオイが軽減される(メリット)
・生理中でも温泉やプール、スポーツを楽しむことができる(メリット)
・着脱には慣れが必要(デメリット)
・生理前と整理後の煮沸消毒が面倒(デメリット)

【月経カップのサイズと選び方】
・日本人は小さめのサイズがおすすめ
・縁がしっかりしているカップがおすすめ

監修:『ROSE CUP』/株式会社イマリ

日本女性のためにつくられた日本製月経カップ『ROSE CUP(ローズカップ)』を開発・販売。
公式サイト:https://www.rosecup.jp/

Top image: © iStock.com/Elena Feodrina
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