中学校教諭ら5人が「パンイチ」で挑んだ、真冬の2,228m。山頂から裸一貫の彼らが訴えたかったこと
2016年7月8日、男性5人が真冬のオーストラリア最高峰「コジオスコ」登頂に挑み、これに成功。大きなニュースとなりました。登頂者を何人も輩出している山で、とくに彼らが話題になった理由。それは全員「海水パンツ姿」で山頂に立ったから。無謀な行為に及んだのは中学教師。
コジオスコにご機嫌な
“海パンボーイズ”現る
“海パンボーイズ”現る
雪が降り積もる山頂に「AUSSIES」とプリントされた真っ赤な海パン姿の男たちが立った。この日、山頂付近の気温は氷点下4度、風速25〜30メートルの風が吹いていたそうです。
多少のやせ我慢はあったはず。けれど、この5人のいさましい姿。寒さを物ともせずの記念写真は、地元紙のみならず多くのメディアが一斉にこれを報じました。
では、この無謀なチャレンジは、単に注目を得るため?もちろん聡明な学校教師たち、単なる“ウケ狙い”という訳ではなかったようです。
うつ病や不安症から
ティーンエイジャーを救う
チャリティ活動の一環だった
彼らの本当の狙いは、ティーンエイジャーたちを救うため。
2015年末にこのプロジェクト「KOSSIE IN COSSIES」を企画したのは、シドニー南部の町にある中学校の先生、Ben AndersenとBlake Leonard。いまオーストラリアでは、うつ病や不安症など精神的なストレスを抱えるティーンが急増中で、それは学校教育の現場でも問題になっている。とチャリティ基金寄付活動を行う「everydayhero」に、彼らはプロジェクトを始めたきっかけを記しています。
「日々生徒たちが精神的な不安や悩みと闘っていることを目の当たりにし、教師として自分たちのようなローカルスクールの教師たちにでも、できることがあるはず」。
ただ募金を呼びかけるのではなく、ひとつの目標に向かってチャレンジングに、しかも面白く挑み続ける姿勢を示そうと決意しました。それが、真冬のオーストラリア最高峰を“パンイチ”でアタックすること。文字通り、学生たちのために「ひと肌脱ぐ覚悟」です。
2,228mといえどそこは冬山。気合いとモチベーションだけでは、裸同然の格好での登山など無謀に等しいもの。冗談半分(もちろん彼らは大マジメ)のチャレンジは、真夏の1月からスタートしていたようですよ。
それがまた、どこまで本気なの!?なんて、突っ込みどころ満載。
冬山に耐えうる体づくり
半年間の周到な準備
まずは大量に買い込んだ氷を家庭用プールに投入し、そこへダイブ。すぐに氷が溶けてしまうとこれに飽き足らず、今度は氷で埋め尽くした大型ゴミ箱を用意して、氷風呂で体と精神を鍛えていきました。
さらにさらに、地上2,000mでのブリザードを体感するため、メルボルンへと遠征。氷点下でお酒が楽しめるアイスバー内で水着姿を披露。アタック数日前には、滝行ならぬ「川行」で心を清めたそうです。
努力は必ず身を結ぶ、越えられない壁なんてない
こうして、着実にトレーニングを重ね、寒さに負けない鋼の肉体をつくりあげた熱血教師たち。彼らのチャレンジは見事成功。下山後の5人を地元テレビ局や新聞各社が「海パンボーイズ」の挑戦として一斉に報じました。
「どんなことにだって一生懸命に取り組んで、トレーニングを積んでいけば、眼に見えない障壁だってはねかえせるし、乗り越えていくことができる。それを学生たちにも示すことができたと思います」。
と「ABC News」に語るリーダーのAnderson。学生たちからの反響も予想以上のものがあったようですよ。
さて、体を張った彼らのチャリティー活動ですが、健闘むなしく、現在までのところ目標金額にまでまだ届いていない現状。9月8日までのチャリティー期間、日本からの支援も心待ちにしているとのこと。もし、彼らの努力に寄付で応えたい、という人がいればこちらから。