教えてGoogle「一番近くの清潔なトイレ」はどこ?(インド)
Googleとインド政府が協力して開発したアプリが、現在、実用化に向けてデリーで試験導入中。なんでもこのアプリを使いこなせば、急にもよおしたとしても、慌てることなくトイレにたどり着けるそう。
いわゆる「トイレ検索アプリ」、ですがその活用がインドのライフスタイルを大きく変える可能性を秘めているんだとか。
トイレの位置情報を
一元管理するアプリ
インド都市開発省(MoUD)とGoogleが共同開発を進めるこのアプリ「toilet locator」は、Googleマップ上に自分のいる位置から最寄りのトイレの場所を教えてくれるというもの。
類似のアプリはいくつかあるものの、このアプリはGoogleマップと連動することで、たんにトイレの位置を知らせるだけでない付加機能がウリ。たとえば、Google検索で「toilet」、「lavatory」と英語での入力だけでなく、「swach」、「swachhata」、「shauchalay」など、ローカル限度でトイレを意味するワードにも対応するそう。
ほかにもSNSとの連動を図り、実際の利用者のフィードバックを生かしてどこのトイレが安全で、清潔で、使用可能なのかなど、より利便性の高い情報収集に努める予定。評判の悪いトイレはマップから削除していくことも検討している、と「Engadget」の記事は伝えています。
こうした背景には、このアプリが海外からの旅行者向けのものでなく、インドに暮らす人々にも広く普及して欲しい、という狙いがありました。
トイレのない世帯が70%
ひっ迫するトイレ事情
人口がまもなく13億人に達する勢いのインド。そこに暮らすおよそ70%近くが、「家にトイレのない世帯」と言われています。一部の富裕層や都市生活者をのぞけば、トイレはほぼ共同トイレを使用する状況。農村部では、小さなトイレを一日に1,000人近くが利用することもあるそうです。
そのため、衛生環境はどうしたって劣悪に。さらに女性たちには身の危険も。ならば、もう外でしてしまえ!という理由ではないでしょうが…世界銀行の統計によると、インド全世帯の約53%が屋外(おもに路上や河原)で排泄をする状態だとか。
けれど、これとて水質汚染や病気の蔓延を招くだけ。こうした現状にインド政府は、近年普及が広がるスマホを使い、トイレの場所を知らせるアプリ開発をGoogleに依頼した、という訳です。
「寺院よりも、トイレを!」
かつて、北西部に位置するグジャラードの州知事を務めていたNarendra Modi氏は、議会の壇上からこう述べ、自国のトイレ事情に警鐘を鳴らしました。
「指導者という立場上、私の口からこんなことを言うのは控えるべきなのでしょう。それでもやはり言わなければいけない。Pehle shauchalaya, phir devalaya!(何よりまずはトイレを、寺院の建設は二の次なのです!)」。
州知事としての立場だけでなく、彼がヒンドゥー至上主義のアイコン的存在でもあったことから、氏のメッセージは物議をかもし、インド国内に衝撃を与えたことを「DNA India」の記事が伝えています。
どれだけ便利なアプリが開発されても、用途を満たすトイレの数が足りていなければ、絵に描いた餅。当然、Googleもそのことに注力しているようです。2019年までにインド国内でトイレ新設にも貢献していく用意があるんだそう。