EU加盟を蹴ってでも死守したかった、ポーランド人の魂「ビゴス」
「あなたの国を代表する料理は?」
こうポーランド人にたずねたら、ほとんどの人が口を揃えてこの料理をあげるんだとか。それが「ビゴス」(別名:狩人のシチュー)です。これが、いかにして彼らのアイデンティティになっていったのでしょう。
「味覚の統合などありえない!」
ポーランド人が
必死で守りたかった味
ニュースマガジン「The Warsaw Voice」が、ビゴスにまつわるこんなエピソードを紹介していました。
ポーランドがEUに加盟する際、ビゴスの料理法がEUの食品衛生基準にそぐわず、レストランなどでの提供を禁止する決定が出たそうです。これに対し、ポーランド人たちは当然ながら大反対。自国のソウルフードを無くさせまいと、「ビゴス祭り」を開催して対抗しました。EU加盟直前まで続いた大論争の末、結局ビゴスの提供は許可されることに。
では、晴れて存続を勝ち取った国民食とはどんな味?
酢キャベツ(ザワークラウト)に豚肉と牛肉、きのこ、たまねぎ、プルーン、スパイスなどを加えて、大鍋でくりかえし煮てつくります。
できたても美味しいけれど、これを何度も温め直して食べるのがポーランド流。冷めては温めるをくりかえすうちに独特の味わいに変化していくそうですが、この調理法が先の衛生基準に引っかかった、というわけ。
「二日目のビゴスが最高」とか「いや、三日間煮込んだキャベツが溶けたところがうまい」など、ポーランド人によっても好みが別れるんだとか。