「ホームレスの社会復帰」を徹底的にサポートする家

ホームレスの人たちへの支援と聞いたら、物資や食料の配給などを思い浮かべる。つまり、一時的には役立つのだけれど、すぐに消えてなくなってしまうものだ。

だからこそ私は、アメリカの非営利団体「Cass Community Social Services」がおこなう活動に心を惹かれた。彼らは、持続性のある支援をさまざまな形で行っている。

家を建てて終わり、
ではない。

ミシガン州デトロイトに建てられたカラフルな家。これこそが、ホームレスの人たちへ提供されるものだ。知らずに見ると、まさか「支援物資」だとは思わないだろう。

もちろん入居するには条件がある、が、まずは家の様子を簡単に。

中が白で統一されたブルーの家。

黄色い家は、建物の中もイエローベースだ。

良い意味で期待を裏切ってくれる、清潔感がある内観。

おとぎ話に出てきそうなこの家は、天井が高くて落ち着いて過ごせそう。

さて、気になる仕組みは?

肝心の条件、ないしは支援の仕組みの説明を。

そもそもこの家に住めるのは、ホームレスはホームレスでも、無一文ではいけない。反対にお金がありすぎてもダメ。その基準は住宅都市開発省(HUD)によって決められているとのことだが、こうすることで単純に何かを与えるだけでなく、社会復帰を目指す人を救ったり、自力で頑張る力を底上げできるのだという。

さらに、家賃。入居者は収入の30%以上を払うことがないように設定されている。つまり、貯金を促してくれるということ。仮に失業などの予期せぬ事態が起きた際には、非営利団体のメンバーが一緒に職探しをしてくれるといったサポートも。加えて、彼らは近くに住み、何かあればすぐに助けられる体制にもなっているらしい。

これほどデザインを重視しているのは、「自分たちの家を誇りに思ってほしいから」だそう。せっかく住むなら…というような単純な理由ではなく、実は7年間家賃を払い続けることができれば、家の所有者になれるというのだ。

この家には、支援する側もされる側も、一時の満足だけで終わらないような工夫がなされている。相手を心から思うからこその仕組みに、なるほどと何度も頷いてしまった。

Licensed material used with permission by Cass Community Social Services
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。