盗難にあうほど美味いチェダーチーズ
英サマセット州ヨービルで、毎年開催されるチーズの祭典「The Yeovil Show」。去る7月15日に開催されたコンテストにおいて、最もおいしいチェダーチーズが選ばれた。
と、ここまでなら何も紹介するようなハナシではない。けれど、今年はちょっとしたスッタモンダで、最優秀賞のチーズを楽しみにしていた人たちへのお披露目がなかったそうで。
コンクールで1等賞に選ばれたチェダーチーズ(ヴィンテージ、超熟成チェダー、熟成チェダー)に悲劇が起きたのは翌日のこと。イベントに訪れたチーズファンにお披露目するはずのナンバーワンチーズたちが、ディスプレイから忽然と姿を消した。まさしく神隠し。
生産者は、会場からほど近いブルートンにファームを構える「Wyke Farm」。受賞後、屋外用テントで保管していた彼らのチェダーチーズは、総量40キロ(受賞したチーズ20キロ、ほか20キロ)を超える重さ、末端価格にして500ポンドというから、日本円にすればだいたい7万3,000円ほど。そこそこの値段だ。
「私たちにとったら貴重な絵画を盗まれたのと同じキモチです。自分たちのチーズを本当に誇りに思っているし、祖母の代から続くレシピは、今も会社の金庫にしっかり保管しているものなんです」
メーカーはすぐに公式ページとFacebookでユーザーたちにこう呼びかけた。ベストチーズに選出されたとはいえ、もともと店頭販売もしているものだというから、試そうと思えば買ってその味を楽しむことだってできる。泥棒はよほどのチーズ好き?
現在、メーカーは40キロのチーズを速やかに、かつ安全な状態で返却するために情報提供してくれた人、あるいはは犯人逮捕の懸賞金として、チーズの価格と同じ500ポンドを用意しているとのこと。
この一件以来、Wyke FarmのFacebookには、チーズラバーたちから同情メッセージが続々と集まり、「買って食べて応援しよう!」、そんな呼びかけまで。40キロのチーズの代わりに、多くのファンを獲得できたのかもしれませんね。