お茶はポストに投函する時代です
「今の人って忙しすぎて、息するのすら忘れてるのよ」
と言ったのは先日参加したヨガ教室の先生だけど、そんな目まぐるしい現代人の生活にこそ、一服する時間が大切だ。それを“日本茶”を通して伝えようとしているのが、「VAISA」というチーム。しかも、VAISAの日本茶、ポストから送ることができるのだ。そーんなことしたらポストの中、ビタビタになるって? 大丈夫。乾燥茶葉10グラム入りの、個包装だ。そんなことより、この日本茶について、VAISAについて、知ってほしいことがありすぎる。忙しいとは思うけど、ちょっとだけ、一服しようじゃないの。日本茶で。
というか、パッケージが変。
VAISAの日本茶、ポストに投函できるなんて素敵だし、他にもいろいろお伝えしたいことがあるんだけど、その前にまずこの違和感を解消しておきたい。パッケージのイラストが、なんかおかしい。
チャンネーとサーフィン。
チャンネーとキャンプ。
チャンネーとスケボー。
シチュエーションは普通だよね。でも、登場人物の時代設定がおかしいの。明らかにおかしいの…。
なぜに、江戸?
このキャラクター、その名を「バイサくん」というそうな。名前のまんまだけど、VAISAのイメージキャラクターだとかで。
「江戸時代に、当時は高級品だった日本茶を禅の教えとともに庶民に振る舞った商人がいて、その人を“売茶翁(ばいさおう)”といったんです。この人物の取り組みがVAISAのルーツ。バイサくんは“現代の売茶翁”となるべく、人と会話する時間、価値ある時間の大切さを伝えようと、全国を巡り日本茶を売り始めたんです」
とは、VAISAチーム談。
「バイサくんは日本茶へのこだわりがとても強く、こぼしてしまったり、苦くなってしまったときは怒鳴り散らします。渋めより甘めの日本茶が好き、だけどエナジードリンクも好き…」
うん。いろいろ突っ込みたいけど、今回は時間がないのであえてのスルーだよ。もうひとつ、すごく気になっていることだけ聞いておこう。もしかして、バイサくんのお隣りにいるのは…。
「まいこさん。昔旅人に日本茶を振る舞っていたという水茶屋の茶立女です」
やたらカッコいい名目背負って全国巡り。…のついでにデイトかよ。(嫉妬)それにしてもバリエーション豊かなシーン設定。
「会社、プライベート。大勢の時間、一人の時間。みんないろんなスイッチやシーンがあると思うんです。時間って無限にあるようだけど、一瞬一瞬が大事。だから何をしている時間も大切にしてね、 応援するよ。って気持ちを日本茶に込めて、いろんなシーンをデザインしています」
ちなみに商品名は「JAPANESE COMMUNI TEA」。ジャパニーズ・コミュニ・ティー。気づいてくださいよ。コミュニティーにティー(=茶)がかかってますよ。ギャグですよ。ついてきてますか。
中身は、本物。
遊び心溢れすぎるパッケージに、肝心の味が心配になっていたそこの貴方。はいお待たせ。中身は拍子抜けするほどしっかり美味しい。こだわり抜いた静岡産の茶葉を使い、紹介した3種類ともそれぞれ違った味わいがある。例えばサーフィンのイラストのもの(里)は、一日中太陽の光を浴びて育った茶葉を使っているので、鮮やかな色が出るのが特徴。さらに蒸し時間をかけることで苦味や渋味を抑え、まろやかぁ〜な味わいに仕上げられているのだ。
なぜに、コーヒーじゃなくて日本茶か?
今や、一服のお供といえば、コーヒー。なぜなら世の中は空前のコーヒーブームなのだ。その中で、あえて日本茶をすすめるVAISA。その心とは。
「ある日、お茶屋さんに日本茶の良さや課題、文化的背景などを教えてもらう機会があったんです。そこで、日本茶のある生活や風景が昔から日本人に根付いていることを改めて実感しました。例えば、“お茶の子さいさい”や“無茶苦茶”など、茶を語源とする遊びコトバが今も残っているように」
日本茶と日本人は切っても切れない関係なんだと知り、好奇心や敬意の念が生まれたのだとか。
「コーヒーに関して言えば、もはや現代では、当たり前となった“サードウェーブ”。生産地への配慮や価値などが注目されるようになり、コーヒーがカップに運ばれるまでのトレーサビリティ、豆の素材や淹れ方など、各々の工程にこだわるスペシャルティコーヒーが注目されてるのは、もはや周知の事実です。そして世界中でハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるスタイルがトレンド。同じ嗜好品でも、日本茶は少しコーヒーに先越されちゃったねっていう感じです。なので、日本茶はこれから。これからが面白い」
いよいよ、日本茶の時代到来でござる。
想像以上にアツアツだぁ
「でも、本来の意図はコーヒーも日本茶も同じところにあると思うんです。FACE TO FACEの世界。価値ある時間をどう過ごすか。好きな子と話すときに美味しい日本茶やコーヒーを飲みながら、浜辺で話せたら素敵だし、波の音が聞こえてきたら、めちゃロマンチック。当たり前のことなんだけど、そんな世界観を、僕たちは“日本茶を通じて”広めていきたいと思っています」
最近では日本茶の「サードウェーブ」系のお店も増えてきたけど、VAISAが伝えたいのは、日本茶の良さに加えて自ら時間や行動をデザインすることの楽しさや大切さ。コンセプトとかこだわりとか、いろいろ伺ってみたら、VAISAの日本茶は、想像以上にアツアツだった。
肝心なことを言い忘れてたよ
ちなみにVAISAの日本茶をポストに投函するときは、パッケージの裏面に相手の住所と名前を書き、82円切手を忘れず貼ってイン。すると後日、赤色のバイクに乗って、相手にCHILLなひとときへの招待状が届くというシャレた仕組みだ。いつもハァハァしているアノ人とか、いつもゼェゼェしているアノ人にとかに送ってみよう。
明日もきっと忙しい。でも、これからはもう少しだけ、日本茶でも飲んで一服する時間を大切にしてみようかな、と思った次第。