口に出すのも恥ずかしい「うんち事情」を深堀してみたところ。
生理現象であるのにも関わらず、なぜか私たちは「うんち」や「おしっこ」という言葉を声に出して言うことにちょっと抵抗がある。
ただ、人が生きてきた分だけ、“排泄の歴史”があるということを、今まで見落としていた気がした。世界のトイレ事情についてあつ〜く語ってくれている「The Infographics Show」の動画が、意外にも心に刺さる人も多いのでは?
どんな風に「大」を表す?
お手洗い、化粧室、洗面所、御不浄(ごふじょう)など…。トイレを表す言葉が豊富にある日本語。同様に、トイレ内で行うことも、「おしっこをする」や「小便する」など様々な言葉で表現されています。病院に行けば、小さな容器に「排尿する」ように言われることもあるかもしれません。
では、小ではなく「大」の場合はどうでしょうか?誰かにバレたくない、恥ずかしいアレのことです。用を足すとか、排便するとか、ウンチをだすとか。想像力が豊かな人は、「プールに子どもを落とす」とか「チョコレート色の人質を解放する」とか、ユニークな言い方をするかもしれません。
本日のThe Infographics Showの『How Much Do You Poop in a Lifetime?』では、この少々気まずい話題について語っていきます。
世界のトイレ事情
最も一般的なのは、腰掛式便器です。これはきっと、あなたも使用したことがあるタイプでしょう。このトイレには、「European water closet」という名前があります。そのため、トイレのドアには、「手洗い」や「化粧室」の代わりに、「WC」と表記されていることが多いのです。
このタイプのトイレには多くのバリエーションがあり、ほとんどが一般的な腰掛式水洗便器の形。他にも一般的なのは、「ANGLO INDIAN PANTS」とも呼ばれるSQUAT TOILETです。このトイレは、床よりも高い位置にあるか、だいたいは厚さ2〜3インチのセメントの上に設置されています。
実のところ、一番これが大便をしやすいと言われるもの。しかし、西洋人がこのタイプのトイレが多いアジアの国々を訪れた際に、しゃがんで用を足すことに違和感を覚える可能性もあります。
SQUAT TOILETは、中国・タイ・イラン・ロシア・ケニア・シリアのような国で見られますが、近年では減少傾向に。腰掛式便器に変わりつつあるのです。このタイプは一般的に、トイレタンクが付いていないため、用を足した後に、自分で水を流さねばならないことがあります。排泄行動そのものが現代的に思えないように、“トイレの歴史”も複雑なのです。
「排便する」という、
言葉が生まれた時代
古代エジプトでは、人々は砂の穴の中に排泄していたと考えられています。穴を掘っては、そこに用を足していたということです。一方、古代ローマには下水道があったようなので、排泄物はそこを通って運ばれていたと思われます。ただ、当時のローマではプライバシーはさほど重要ではなかったそうです。だから、「誰かのすぐ隣で用を足す」なんてこともあったのかもしれませんね。
現代のものに似た最初の水洗トイレは、1596年に誕生。宮廷詩人であるジョン・ハリントンがエリザベス女王のためにそれを設置したのです。しかし、その後の1775年のこと。スコットランド人のである時計技師のアレクサンダー・カミングが、現代のものに非常に近い水洗トイレを発明しました。
一方、トーマス・クラッパーは水洗トイレの発明者ではありませんが、19世紀の“トイレ開発”に携わった一人です。「take a crap(排便する)」という英語表現が誕生したのは、この時のことです。
シャワー機能の誕生
現代になると、ビデや暖房便座、防臭機能があるスマートなトイレや便器が登場。現時点では、日本のトイレが世界の最先端を走っているように思います。
アジアの人たちが特に好むのは、「Spray Gun」(シャワー機能)。これは、紙で拭く代わりに、お尻に水をかけて洗浄するものです。イギリスの場合、Spray Gunに代わるものがあり、「トイレットロール」呼ばれています。西洋人の場合、Spray Gunの使用に戸惑いを感じるのですが、使い続けるうちにこの機能を気に入って、清潔さを感じる人がほとんどです。
世界には、用を足した後の処理に手と水を使用する地域があります。が、これには大半の西洋人が驚愕しています。
トイレにヘビが出現
下水処理は、昔から優れていたわけではありません。1858年のこと。2ヵ月もの間に猛暑に襲われたロンドンでは、「The Great Stink(大悪臭)」と呼ばれる事態が発生。排泄物の悪臭が大気中に充満して、具合の悪くなる人が続出し、数千人がコレラで亡くなりました。
この大悪臭について、作家のチャールズ・ディケンズはこう記しているのです。
「不快な臭いはわずかなものでも、人間の頭と胃を麻痺させるのだ」
現代の下水道は、昔よりもはるかに優れています。でも、ワニやヘビの住み家になることが、いまだにあるのです。最近のタイでは、ニシキヘビがトイレにまで出現し、人に噛みつくという事件が数多く報告されています。
2016年のこと。ある不幸な男性は、巨大なヘビに“大切な部分”を噛まれて、トイレ中が血まみれになって、病院送りになったそうです。
過去数年にわたり、トイレでヘビが目撃された事例は、イギリス・オーストラリア・南アフリカ・アメリカで報告されています。なんとも奇妙に思いますが、深刻な問題です。今年に入ってタイでは、豪邸に暮らすある家族が、一週間のうち2匹の異なるヘビに噛みつかれる事件が起こりました。被害者となった家族は現在、用を足すことに恐れを抱いています。
排泄は、生物によって違う
いよいよ、本題に入ります。「bog」(イギリスのスラングでトイレを意味する言葉)の中で行うことについて語りましょう。
人間の排便の回数は、一部の動物ほど頻繁ではありません。例えば、ガチョウは12分ごとにフンをすると言われています。また、ウサギは個体差もありますが、食事量に応じて1日に300〜500個の大量のフンをするのです。あらゆる動物が排泄しますが、その方法は異なります。たとえば、クラゲは食物を摂取するのと排泄は同じ穴から。
フンを出さない唯一の生物は「ニキビダニ」で、排泄をするための穴がありません。彼らは死ぬまで、フンを体内に溜め込むのです。
人間の一生分の排便量は…。
人間の場合、一般的には1日に1回排便をすると言われています。当たり前ですが、これには個人差があるもの。人の日々の排便量の平均は、約128gだと考えられています。また、便の量は食事量によっても影響があるので、135kgの男性の場合は、45kgの女の子よりも多くのウンチを出すことでしょう。
「National Center for Health Statistics」によると、平均体重 (=88.9kg) のアメリカ人男性は、毎年約163kgの便を出します。つまり、便を1年もの間集めたとしたら、1バレル(約160リットル)のドラム缶をいっぱいにできるということです。
ただし、年齢を重ねるにつれて、便のサイズも小さくなります。仮に寿命を70歳とすると、あなたが生涯で出す便の量は、11,430kgとなります。これは、世界最大の象(アフリカゾウ)の約2倍の重さ。
「New Scientist」によると、健康的な人が1回の排便に費やす平均時間は、12秒間。これは、実際に便が出ている時の時間であり、トイレを待っている時間は含んでいません。よって、1日1回のペースで用を足しながら、70歳まで生きた場合、あなたは人生の3.5日間を排便に費やしたことになります。
一方、トイレの待ち時間や、読書や考え事に費やされる時間は、1週間あたり約42分間 (=人生の約92日間) だと言われています。これでいう人生が何年かは言及されていないのですが、イギリスの研究データでは約79年間と推測されます。
小便の場合は…。
「小」の場合はどうなのでしょうか?
言うまでもなく、これは水分の摂取量によって変化します。もしも、フットボールの試合を観戦しながら、ビールを1ケース飲み干せば、おしっこはたくさん出るでしょう。でも、平均的には私達は1日に約2~3リットルの水分を摂取するとされるのです。
「Medicine Plus」のWEBサイトには、こう書かれています。
「人の1日の平均水分摂取量は約2リットルであり、私達は1日に平均6~7回おしっこをする。1日2リットルの水分を摂取した場合の排尿量は、0.8~2リットル。」
この値は、年齢、健康状態、既往歴や、膀胱の大きさによって変化するかもしれませんが非常に重要なこと。
もしかしたら、あなたには、頻尿で悩む友人がいるかもしれません。「Law of Urination」と呼ばれる資料によると、私達の1回の排尿時間は、平均で21秒。よって、1日あたり7回のペースで70年間おしっこをすると、排尿に費やされる合計時間は、約43日間になります。
この期間の1日あたりの排尿量を2リットルとすると、私達は70年の人生で、合計51,100,000リットルのおしっこをすることになります。これは、どれほどの量なのでしょうか?一言で表すと、「非常に多い」ということです。
オリンピックのスイミングプールには、約2,500,000リットルの水が入っています。ですから、1日2リットルのおしっこを70年も出し続けた場合、あなたは自分の尿でオリンピックのプール20.4個を満たすことが可能。ここまでくれば、“おしっこオリンピック”のチャンピオンと、名乗れそうです。
さて、あなたの「トイレ事情」は平均的なものでしたか?