マリファナにまとわりつく黒人差別の実態。
2016年11月の住民投票で、嗜好用マリファナの合法化が認められたカリフォルニア。すでに、今年の1月1日から栽培や販売、使用が解禁されています。
この動きを受けて、サンフランシスコの地方検事局は、1975年まで遡ってマリファナに関する犯罪歴を抹消する方針を明らかにしました。
George Gascón地方検事は、このような意見を発表しています。
「連邦レベルではドラッグ政策が後退しています。またしてもサンフランシスコは率先して、この国が失敗した麻薬戦争が国民に、とくに有色人種の人たちに与えてしまった損害を修復します」
人種差別がある、とでも言いたいような彼の発言。いったい、どういう意味なのでしょうか。
偏見によって
逮捕される「有色人種」
去る1月22日に「Drug Policy Alliance」は、人種別のマリファナ使用率や売上高には大差がないにもかかわらず、白人よりもアフリカ系やラテン系の方が検挙される確率が高い、という調査結果を明らかにしました。ちなみに、これはマリファナの栽培や販売が認められた州での話。
非営利組織「Sentencing Project」は、合法化の動きが活発ではなかった2010年では、アフリカ系は白人に比べ、3.7倍も逮捕されていたというデータを公開しています。
これをアメリカでは、<Racial Disparities>と表現しています。日本では、人種間格差と訳されるでしょう。
使用率などが同じくらいならば、検挙率の数字も似たようなものになるはず…。だけど、異なる結果を示すデータを知ると、“偏見”が関わっているのが予測できます。
だから、George Gascón地方検事は「有色人種の人たちに与えてしまった損害」と表現したようです。また、彼は犯罪歴があると、仕事を見つけづらい、または住宅ローンが組みにくい、という二次災害のような例も紹介しています。
サンフランシスコの政策には多くの人が、「バイアスのかかった逮捕が横行していたなら、犯罪歴を消去するべきだ」と考え、賛成しています。対して、「当時は違法だったのだから、ルールを破った事実は変わらない」と否定する人も。
どちらにせよ、この大きな方向転換に影響を受ける人は、今までよりも暮らしやすくなりそうです。
揺れる人種差別問題。