「野菜」×「fashion」

これらの写真は、フードスタイリスト薫さんによる「Food On A Photograph」というシリーズ。モノクロ写真の上に食べ物を乗せ、それを撮影し、Photoshopなどの合成は一切しないという、アナログかつシンプルな手法による作品だ。

食材や料理を新しい視点から眺め、ファッションと融合させることで、食べ物の個性を引き出している。このフードへの新しいアプローチが、日本のみならずアメリカでも注目されている。

アクティングやミュージックなど、ポップカルチャーを築いてきたアーティストたちのキュートな表情と、野菜たちの愛らしい色や形が掛け合わさることで、新たなエンターテインメント/アートが生まれている。

これらの作品と通じて、野菜たちの強い個性にハッとさせられるはずだ。

<フードスタイリスト 薫>
CM、広告、雑誌、アーティスト写真集等多方面でフードスタイリストとして活躍するほか、企業レシピ考案なども手がける。

宝石のように色彩豊かな
野菜たち

食材の色鮮やかさや形の美しさをより際立たせるため、あえてモノクロ写真にフードを乗せている。野菜たちの個性に敬意を払っているようだ。

フードスタイリストとして仕事をするなかで、食べ物の色鮮やかさや美しさをより伝える新しいアプローチはできないものかと、何年も思い悩み、考えてきました。世の中にカッコイイ写真はあふれています。けれど、人々がそれに見慣れてきているのも事実。これまでとは異なる方法で、もっと新しい“何か”を見せたいと思ったのです

この作品の着想について彼女はこう語っている。

2018年4月13日~4月21日には、ニューヨーク・ソーホーにて全米初の個展を開催する予定だ。そこでは当シリーズ以外にも、シェフの写真の上に料理を乗せる「Food On A Photograph with chefs」という新シリーズも展示するという。

野菜たちの自己表現

彼女の作品に改めて気付かされたのは、当然ながら、野菜にはそれぞれの異なるカタチがあるということ。

植物は、もちろん「生きている」けれど、
僕たちと違い“声”という表現方法は持ち合わせない。
動物のように吠えることも、人間のように巧みに言葉を操ることもない。
微生物のように自由に動き回ることだって難しい。
他力に頼りつつ、あらかじめ決められた場所で根を生やしている。

だからこそ、植物は美しい、と思う。
色彩豊かに、独創的で繊細に、ときに大胆に、そのカタチをつくっている。
それが、唯一の自己表現手段だから。

ただ「食べ物」ととらえるのではなく、少し見方を変えてみれば、鮮やかに色をつける野菜たちの懸命さに少し気づくことができる。

今日の食卓に供されるであろう野菜たちに、束の間でも目を向けて、彼らの自己表現をしっかりと受け取ろうと思う。

Licensed material used with permission by Kaoru Mitsui, Instagram
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。