【問題】チーズは種類に関係なく同じ温度で溶けるでしょうか?
問題です。
「Q.チーズは種類に関係なく、同じ温度で溶けはじめる?」
どう思いますか?
と、質問をしておきながら早々に答え合わせ。
「A.いいえ、溶ける温度はバラバラ」
わからなかった人はチーズ初級者!
「Food52」のEmma Laperruqueさんに言わせると、チーズにも人間同様それぞれ異なる“パーソナリティ”を持つんだとか。
ということで、せっかくですからこれを機に勉強してみませんか。カチョ・エ・ペペ(チーズとコショウのパスタ)づくりで失敗した経験がある人は、「なるほど〜」と、腑に落ちる部分がきっとあるはず。
チーズ博士への第一歩は
「溶けるタイミング」を知ること!
チーズを使ったパスタ「カチョ・エ・ペペ」。フライパンにバターを落とし、黒胡椒をまぶしたら、茹で上がったパスタを移し、茹で汁とすりおろしたチーズを投入するアレです。
私が使うのは、王道のペコリーノ・ロマノとパルミジャーノ・レッジャーノ。これに対して誰にも文句なんて言わせない。シンプルなレシピほど具材にこだわったほうがいいから、最高級のチーズを選んだの……ってイヤだ!いつの間にかチーズソースが脂っぽくなってる!しかもダマに。失敗っ、あーもう終わりっ。助けて、チーズドクター!
と、こんな寸劇はさておき、今アメリカで人気急上昇なのがカチョ・エ・ペペ。でも、私と同じようにうまく作れない人も多いのだとか。なぜかというと、チーズがうまく溶けてくれないから。もはや「溶けたがらない」と言ったほうがいいのかもしれない。固いし、乾燥しているし……なんなら他のチーズとうまく絡まない。おかしいなぁ。
なんで同じチーズなのに、ここまで性質が異なるのか。
それは、チーズことに性格(つまり溶融点)がまったく違うから。だからって、すべての溶融点を暗記する必要はありません。枠組みだけ知っておけば、チーズ博士までいかなくても、チーズ助手くらいにはなれるはずだから。
知っておきたいチーズの「溶融点」
〜初心者編〜
たとえばチェダーチーズは、冷蔵庫に入れておけば(脂肪の)固形物のままですが、カウンターに放置しておくと、だんだん柔らかくなってきますよね。当然ですが夏場に道端に落っことしたら、溶けてしまう。
ということで、チーズが溶けはじめる温度の基本的な目安がこちら。
【55℃前後】
モッツァレラのような、柔らかくて湿り気のあるチーズ【65℃前後】
チェダーのような、柔らかいけどぎっしりしているチーズ【82℃前後】
ペコリーノ・ロマーノのような、固くて乾燥しているチーズ【そもそも溶けない】
ゴートチーズやリコッタなど、フレッシュで酸凝固したチーズ
※フェタやハルーミも溶けません。
若ければ若いほど、溶けやすい
たとえばマック&チーズ(マカロニ&チーズ)を作るのにゴーダチーズをチョイスしたとしましょう。柔らかくて若いものではなく、どっしりと熟成したものを用います。熟成されたもののほうが香り高くておいしそうでしょう?
ところが、とくにゴーダチーズは、若いほうがキレイに溶けてくれます。じつは年寄りのゴーダチーズって、頑固で言うとおりに溶けてはくれないんですよね。
ちなみにチーズ界でいい感じに溶けてくれる優者は、アメリカン、ヴェルヴェータ、タレッジオ、プロヴォローネ、グリュイエール、モッツァレラなど。心に留めておきましょう。
ソース用のチーズは小麦粉で濃いめに
たとえばマック&チーズのレシピは、ベシャメルソース(もしくは牛乳)にすりおろしたチーズを混ぜ、モルネ(チーズ)ソースを作るところからはじまります。
いっぽうベシャメルソースはというと、ルー(バターなどの脂肪分と小麦粉を同じ量かき混ぜて作ったもの)づくりから。そこに牛乳を入れて、ソースが濃くなるまでグツグツさせます。要は、小麦粉が増粘安定剤の役割を果たすというわけ。脂肪分の分解を防ぐためには小麦粉が必須なのです。
つまり、チーズソースを作るときは小麦粉やコーンスターチを使って濃厚に仕上げるのが◎。これをさらに手助けをしてくれるのが、酸です(チーズフォンデュにはお酒がよく使われるでしょう?それと同じ理由です)。
濃くしたくないときはどうすればいい?
たしかに、カチョ・エ・ペペにルーを入れて濃くしたがる人はあまりいないでしょう。本場のイタリア人にも大反対されそうですし(笑)。その場合は、とにかくチーズを細かくすりおろすこと。おろし器を使えば間違いなし。
あとは、ソース作りに使う「茹で汁」はでんぷんを多く含んだ状態であること。普段より少なめのお湯を使ってパスタを茹でれば、濃いめに仕上がりますよ。