誰にも見られるはずじゃなかった手帳を集めた「図書室」に、興奮が止まらない。
毎年この時期に買い換えるスケジュール帳。
予定だけじゃなくつぶやきやらなんやらもついつい書き込んじゃうんだけど、それを数年後に発掘すると、全然別の人が書いたみたいで、生々しい過去の自分にドキッとする。同じように、過去の交換日記やカレンダーを見て、不思議な気持ちになったことのある人は多いはず。
そんな「手帳」の魅力に取り憑かれ、見知らぬ誰かの手帳を集めている「手帳類収集家」がいるらしく。ちょっと、その世界を見てもらいたい。
甘酸っぱかったり、ほろ苦かったり。
アッ、もうこれだけで、ギュン!!!って心を掴まれた。
実際誰かの手の中にあった手帳、肉筆の、生々しい気持ち。誰にも見せないはずだったものが、なんの因果かここにある。どこの誰ともわからないけど、みんな人間臭く生きているその体温、執念、熱情、そんなものまで伝わってきそうな手帳の数々が仕舞われているのだ。
誰かの哲学、日常の雑務、仕事、愛情など、その記録から目が離せない。
離婚、就活、人生の分かれ道
僕の/私の アタマの中
"見てろよ、バカ妻め♡ クックックック。"
"ダイソーの万年筆を また売るのかい?どうよ。"
これが等身大の毎日さ。
"おカネ、あるの?ないの? "
恋、愛情、生身のキモチ
"それでも愛してるって言って!なぐっても愛してるって言って!
あなたを殺してしまっても愛してるって言って!
あなたを殺してしまっても愛してるって言って!
あなたを殺してしまっても愛してるって言って!"
"愛してるよ。愛してるよ。ぐちゃぐちゃでいいよ。ダメでいいよ。イライラしててもいいよ。人間やめてもいいよ。"
触りにおいでよ、他人の手帳。
実はこれらの手帳を集めている「手帳類収集家」さん、渋谷区に「手帳類図書室」を構えてるんです。
つまり、今紹介してきたみたいな「胸がぎゅっとする」他人の手帳を、実際触ってみれるってこと。
参宮橋Picaresque(ピカレスク)にある「手帳類図書室」では、人が記した手帳や日記やネタ帳など、あらゆる「手帳類」を収集する志良堂正史のコレクションを読むことができます。ギャラリーの一画で、誰にも見せるつもりじゃなかった手帳類を、1時間500円からご覧いただけます。手帳類の筆致や筆跡、手触り、音、においなどを、あなたの五感で解釈してみてください。
中には小学生の「ドグラ・マグラ」読書録とかもあるらしくて、気になりすぎる。
あなたの手帳も買い取ります。
加えて、誰かに見せるつもりじゃなかったあなたの手帳も、100~500円ほどで買い取ってくれるそう(依頼の多いタイミングでは、寄贈のお願いをすることもあり)。
昔の手帳、書きかけのノート、捨てちゃうくらいならこの不思議な世界に送り出すのもまた一興。
手帳類は、アーティストや作家に作ることができません。手帳類は、読んでもらうために書かれたものではなく、かつて行われた日常的実践の痕跡でしかありません。だから、過去に誰かのプライバシーだったものを覗き見るという不思議な倒錯のなかで、読み手が主体となって見出されるものだと言えるでしょう。
さぁ、あなたもめくるめく「手帳類」の世界へ繰り出そう。
公式サイトはこちらから。