『自分におどろく』

「自分におどろく」
たなかかずお 文 あべ弘士 絵(童話屋)

 

いちばん最初に、吹きぬける風を「気持ちいい」と感じたのはだれなんだろう。最初に、だれかを「好きだな」と思ったのはだれなんだろう。

いま自分がここにいること。朝から晩まではたらいて、好きなだれかとお茶を飲んで、恋人と月をみあげて。自分は、いったいどこから来たんだろう。となりにいるこの人は、どこから来たんだろう。

たくさんの奇跡が重なってここにいる。そんなことはわかってる。でも途方もなさすぎて、なかなか実感ができないんだ。

だけどわかったのは、たとえばいま10歳の人は、10年まえに生まれたわけじゃないし、80歳の人は、80年まえに生まれたわけじゃないってこと。40億年まえに、もう生まれていたってこと。ちいさな細胞としてだけどね。

なんとなく、なんとなく、自分が生まれてきた意味「みたいなもの」を、ちょっとだけ思って、この絵本はおしまい。


それでは、おやすみなさい。

 

『自分におどろく』文 たなかかずお 絵 あべ弘士(童話屋)

きみのいのちは 40億年前に生まれた たった一つの細胞から始まった。いのちは進化して 木や草やライオンや象になった。ムカデやタコにならず、きみは まっすぐ人間の道をたどって いま そこにいる。それは すごいことだ。まさに奇跡なのだ。

描かれるのは宇宙、ビッグバン、地球、いのちの星に生まれた奇跡のぼく。
そして今のコンピューター文明まで。壮大な世界の物語を、一冊の詩絵本に込めています。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。