シークレット・シネマ――ベンのトピックス
「シークレット・シネマ(Secret Cinema)」は、ファビアン・リガルがロンドンで始めた映画上映アトラクションです。2007年にスタートしてから、観客を映画の世界に没頭させる高いクリエイティビティで、かつてない新たな映画体験を提供してきました。
その発端は、リガルが子どもの頃に「映画の世界に入り込んでみたい」と思ったのが最初。その夢を叶えるために、リガルと彼のチームは「360度参加型シークレットワールド」と呼ばれるシステムを作り出しました。
シークレット・シネマが開催されるのはイーストロンドンの廃ビルや空き地など。彼らはそこに作品の中の世界を再現したセットを作り上げ、さらにはキーキャラクターを演じる役者も投入します。その空間では、観客と映画の間には従来の境界線が存在しなくなるというわけです。
下の写真は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を上映した時のもの。
ファンならわかりますよね?スクリーンになっているのは、ヒル・バレーの時計台です。作品に登場する街のなかにいる気分でBTTFを楽しめるという仕掛けです。
また、これは『スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲』を上映した際のセットです。
スター・ウォーズの象徴である、Xウィング・ファイターのドッキング・ベイを作り上げています。
セットだけではありません。
2017年2〜4月に上映された『ムーラン・ルージュ』では、パルプのジャーヴィス・コッカーといったイギリスの有名ミュージシャン、テクノユニットのグルーヴ・アルマダらのパフォーマンスも話題になりました。
ドラマチックなこの上映方法がいかに高い人気を誇っているかは、彼らが記録した興行成績から伺えます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は8万人、『スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲』は10万人の観客をそれぞれ動員。『ムーラン・ルージュ』は、11週連続でUK Box Office(興行成績)のトップ10にランクインしました。その勢いは今も続いていて、直近に公開された『ブレードランナー ファイナル・カット』は、当初3ヶ月間の上映予定だったのがが、好評につき1ヶ月延長されることに。
4DXもすごいし、MX4D™もすごい。だけど、シークレットシネマは、まったく違う視点から映画鑑賞という体験をアップデートしたエンターテインメントです。
次の作品は、2019年の夏に予定されている『007 カジノ・ロワイヤル』。ブロードウェイにミュージカルを観に行くように、あるいはイタリアにオペラを観に行くように。この上映のためだけにロンドンを訪れる価値があると僕は思いますよ!