15歳のトラックメイカー「SASUKE」の才能に愕然

©2018 TABI LABO
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※8月10日、Ginza Sony Parkで開催されたイベント『Park Live』に出演した際の写真。

作曲・ライブ・ダンス・ラップ……etc
「SASUKE」が凄い!

 

6歳からガレージバンドで作曲を始め、これまでにつくった楽曲数がゆうに1000を超えているという彼。

作曲だけでなく、ユーチューバーとして、路上パフォーマーとして、ミュージシャンとして、とその活動を見れば見るほど、中学生とは思えない多才さに驚きます。

 

 

スピーカーの上に腰掛け、組んだ足のうえに機材を置いてフィンガードラム。このラフなスタイルに、僕は心を掴まれちゃいました。愛媛出身で、東京にもよく来ているみたい。

ってなわけで、なぜこんな特殊なスタイルに? ってところから、本人に聞いてみました。

 

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――とても珍しいスタイルですよね。

 

自分でも珍しいと思います。ふつうとか、人と同じなのが苦手で……。ずっとこだわりを持っている、というのはあるかもしれません。

 

――何かきっかけはあったんですか?

 

スピーカーに座って演奏するようになったのは、去年東京に来たときに、スキマ時間ができちゃって、せっかくなので路上でやってみるかって、思い立ったことがきっかけです。

最初は小さなスピーカーしか持ってなくて、音が全然聞こえなかったんですけど、大きな音量を出せるものを買いに行って、キャットストリートの近くでもう一度やったんです。それからですね。

東京でやると、人がすぐに集まってきて凄いなと思いました。そのときの動画がTwitterに投稿されて、バズったんですよ。

 

――いきなり一発目で。

 

そうなんです。それで、投稿してくれた方にお礼のメッセージをしたら、毎秒フォローの通知が届くような状態になって、2日ほどで2000人くらいフォロワーが増えたんです。

地元でやってても誰も立ち止まらないから、東京やNYは凄いなって思います。

 

――NYでパフォーマンスしたこともあるんですか?

 

その時はダンスひと筋! みたいな時期だったので、踊ったんです。NYはノリが全然違いました。

趣味でグラフィティも描くんですけど、服や音楽、そういうストリートな感覚は、ダンスからの影響が強いです。大会のロゴを見たり、DJが即興でかけている音楽に合わせて踊ったり、そこでかかってた曲をスマホでとったり。

 

©2018 SASUKE

 

作曲をソフトを使って本格的にはじめたのは、小学校6年生のときからですね。

 

――音楽やダンスとの最初の出会いは、いつ頃だったんですか?

 

記憶がない頃まで遡ると、2歳の頃、らしいです。

両親が音楽好きで、テレビをつけずに音楽だけを流していたみたいで、それに合わせて踊り出したみたいです。

記憶があるのは、幼稚園の年長くらいのときですかね。お父さんのパソコンを勝手にさわって、ガレージバンドを勝手にいじって遊んでました。

家に、おじさんのターンテーブルが置いてあったりもして、やりたいって頼んでやらせてもらって、YouTubeでやりかたを調べていきました。5歳くらいのときには、サンタさんがドラムをくれて……それが最初の生楽器でした。

 

――音楽好きの夢にとことん寄り添ってくれるサンタさんがいた(笑)。

 

はい(笑)。まわりにはいろいろありましたね。とくに教わることもなく、遊んでました。

 

――物心つく前から音楽を聞き、ダンスをはじめて、おもちゃがわりに機材を触ってた。ちなみに、NYへは観光で?

 

最初は勝手に踊っていて、5歳からダンスを習い始めたんですけど、当時行ってたダンススタジオがNYでレッスンすると呼びかけをしてて、ずっと行きたかったので、お願いしたんです。実際に行ってみると、本場のノリに驚きましたね。

靴屋さんの店内で、流れていた音楽に合わせて体を動かしてたら、店員さんが集まってきて、そこにいたみんなが踊り出す、みたいな。

日本ではありえないですよ。冷たい目で見られますから。

 

――あはは。カルチャーショックだったんですね。たしかに、踊ってる動画も多いです。

 

 

これは、会場とかじゃなくて、どこかのスタジオの一角でやってた小さなイベントでした。友だちと出たんです。外国人の身体能力にビックリしました。それに、本当にみんな楽しそうにやるんですよ。

 

――想い出がたくさんありそうですね。とくに記憶に残っていることは?

 

アポロ・シアターの雰囲気も忘れられません。お客さんとして見に行ったら、スタッフの人に話しかけられて「出ろ」って。

 

――またドラマのワンシーンみたいな展開に。そのままステージへ?

 

踊ってたら出てよって言われて、オーディションの日を伝えられたんです。別日だったんですけど、行ったら300人くらい並んでました。

なんでもいいからパフォーマンスをしろっていうもので、周りには詩の朗読とか、バンドとか、いろいろな人がいました。電気屋さんでCDを買って、パソコンから曲を入れて、即興でダンスしたんですけど、なぜか一週間後にステージでやることに。

 

――合格しちゃった。

 

はい。2階も3階も、横までお客さんがびっしりいて、すごかったです。

しかも、ふつうは終わったあと裏からひっそり帰るみたいなんですけど、正面から出たんで人がワーっと集まってきちゃって、踊れよって言われて踊ったら、また全員踊りだして大騒ぎ、みたいな。お祭りでしたね。

 

――そんな経験の持ち主、まわりにはなかなかいませんよね。中学校ではモテるんじゃないですか?

 

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いやー、モテないです! ホントに。よく聞かれるのですごい困ってるんです。 そんなにモテたいとも思ってないですし!

学校ではそういう話は一切しないです。

 

――音楽できて、おしゃれだし、学校とか家ではどんな感じなのかなって思って。

 

学校は制服だし、帰ってきたら家の音楽部屋にこもってますね。宿題とか、ご飯とか、出かける予定がない限りは、そこにいてパソコン立ち上げてます。

平日は学校で、休日にこうして東京に来るような感じです。

 

――職人気質。しかも、大人顔負けな忙しさ。

 

16時くらいに学校が終わって、家に帰って17時くらいから宿題して、ご飯食べて、制作して、長いと深夜までやってますね。

さすがに平日は早めに終わらせようと思ってますが、こないだは夏休みだからってのもあって、朝までひたすらつくってたことも……。

だいたい1日1曲。上手く行くと1日2曲。最近はライブが多くなったので時間がかかるんですけど。

 

――部屋の様子は動画で公開してますよね。機材がズラっと並んでていい雰囲気。

 

 

見た目のいい機材が増えると、部屋の雰囲気もよくなっていいですよね。テンションが上がります。

ミラーボールがついてて、大きなディスプレイも置いてあるんですけど、後ろにLEDがついてて、後光がさしてたりとか(笑)。

 

――中学生の部屋とは思えないですね。音楽スタジオみたい。

 

機材が多いのでどこかスタジオに行くほうが面倒ですよね。狭いですけど、ここで撮影やライブ配信をよくやってます。

DJで曲をミックスしながら話したり、最近はたまに作曲の様子も。IGTVとか、出たタイミングで試してます。

 

――友だちは呼びます?

 

いやー、呼ばないです。同じような趣味の友だちは学校にいないですからね。

それに、ちょっと前に友だちとの関係が変わったりして、自分がフツーじゃないことにも気づきましたし。気づいてからは、それをわかった上でみんなと接するようになりました。

 

――それはいつ頃から?

 

ちょうど小6から中1になるところだったんですけど、声変わりもあったし、成長期もあったし、性格まで変わったので、春休みの間に何が起きたんだってみんなに言われたことがありました(笑)。

昔はもっと好き放題やってたんです。昼休みのときに運動場の真ん中でひとりで踊ってて、変な子だと思われてはいたんですけど、友だちにも踊らせようとしてました。

 

――昔は巻き込むタイプだったけど「アレ、なんか違うぞ」と。

 

そうそう。

みんなも誘ったら一緒にやるだろうと。でも、そうじゃなかったんです。それで、小6のときに面倒になって、疲れちゃって(笑)。

とにかく曲をつくりたかったので。

 

――音楽に没頭していたかったんですね。動画のバリエーションやアプローチも多彩ですよね。目指している人やジャンルなど、好みはあるんですか?

 

 

昔から、新しい音楽ジャンルをつくりたいって思ってて、だから、特定のこだわりはないです。

メロウで激しいエモーショナルな感じは好きですけれど、結果的によければなんでもいいのかなって思ってます。ラップもしますが、ヒップホップを意識しているわけでもないですし。

 

――多重録音の様子を見ていて、ジェイコブ・コリアーのようだなーなんて思ったり。

 

すごく好きです。初めて見たときに、なんだこの人! って感じました。影響を受けてます。

最近は、Louis Futonっていう、Instagramのストーリーを使って15秒動画をつくってる人も好きです。

何人かは連絡を取っていて、最近でいうと、Jordan Reddington。急にInstagramで連絡が来たんです。ビートメイカーを紹介しているメディア「Best Beatmakers World」に取り上げられている人で、そこへぼくが出たときに連絡が来たんです。

「Instagramの公式マークはどうやってついたんだ?」って。

 

――公式マークってなんですか?

 

Instagramのアカウント名の横に表示されている青い公式マークですね。自分ではつけられないものなので。

 

――SNSをうまく使うための情報交換というわけですね。なるほど。NYでのパフォーマンスから、国内でのライブなど、愛媛を飛び出すことも増え、アーティスト同士の交流も増えてきたと思いますが、今後挑戦したいことや行ってみたい場所はありますか?

 

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日本で活動を頑張って、20歳を超えたら外国に行きたいですね。

行ってみたいのは、LAです。向こうのレコーディングスタジオで曲をつくってみたいです。世界的に有名なDJにも街で偶然会えたりするって聞いたので、音楽家が住んでる地域にも行ってみたいんです。

今は、遊んでるみたいに、楽しくやってるだけなんですけど、たくさんの人に見ていただけて本当にありがたい限りです。これからも音楽を優先できるようにしていけたらいいなと思っています。

 

――学校生活との両立が大変そうですね。

 

……そっちは全然ダメなんですけどね(笑)。がんばります。

 

――(笑)。ありがとうございました。

 

さて、インタビューの際にも演奏を披露してくれるなどサービス精神大盛なSASUKEくん。一度見ればきっとそのパフォーマンスに心が躍るはず。最新情報は、彼のTwitterInstagramでチェックしてみて。

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取材協力 SASUKE
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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。