「日本赤十字社」が調査。長引くコロナ禍が若者に与えた影響は?
先月中旬からはマスクの着用が個人の判断に委ねれるようになり、5月には感染症法上の位置付けが変更予定になる。
このように制限の緩和が進むタイミングで今一度確認しておきたい。
長引くコロナ禍は、若者にどのような影響をもたらしているのか?ということを。
高校生や大学生(大学院生)、保護者、教員の合計600名を対象に「日本赤十字社」が今年2月に実施した、第2回目「コロナ禍の生活が若者の将来への不安に与える影響に関する調査」の一部をご紹介しよう。
さて、まずは若者の心の変化についての質問。
2022年1月に報告された第1回目と比較し、大学生の「悲しい気持ちになる、涙が止まらなくなる」を除いた項目で平均8してポイント減少。しかし、俄然として3〜4割の若者が心に何らかの不安を抱えている結果が明らかに。
そして、その心の変化の要員としては「毎日の生活に充実感が感じられないから」が高校生、大学生ともに最多。
高校生で続いて多かったのは「仲の良かった友人や知人と疎遠になってしまったから」「屋外でのマスクが不要になったり、外出を制限しなくなるなど周囲の行動や気持ちの変化についていけないから」。
大学生では「いつになっても以前のような生活に戻れるとは思えないから」「コロナ禍で3年近く経っても、将来の見通しが持てないから」が上位となっていた。
このような心の変化への対処では、高校生は「『何とかなる』とできるだけ楽観的に考えるようにした」が、大学生は「同級生や先輩と話し合った」がそれぞれ最多に。
なお、周囲の人に相談しなかった人の理由としては、「相談しても何も解決しないと思ったから」「相談することが時間の無駄だと思ったから」との回答が多く寄せられ、対話に意義を感じていない様子が見受けられた。
では今後、大人は若者にどのようなサポートをしていけばいいのか?
日本赤十字社医療センターの臨床心理士・関真由美氏はこのような見解を述べている(一部抜粋)。
コロナ後の生活は、大人にとって「前の生活に戻る」という気持ちでも、彼らにとっては「新しい生活に再適応していく」過程と考える方が適当です。そして再適応のスピードやあり様には個人差があります。正しい情報を伝えつつ、彼らの意志を可能な限り尊重して下さい。
この数年、彼らは自分の希望よりも感染対策を否応なく優先させられてきました。これが「相談しても解決しない・無駄」という思いに繋がった面も大きいと考えます。今後の生活で、自分の希望やペースが尊重されたと感じる時、生活への充実感や、今後への希望、大人への信頼感もまた育まれてくるのではないでしょうか。
また、遠隔授業などコロナ流行下の方が安心して学習、生活ができたという若者もいます。その道も閉ざすことなく、全ての若者が安心して再適応の道を歩めるよう、私たち大人もコロナ禍に学んだことを活かしていきたいものです。
詳しい調査結果はこちらの公式サイトに掲載中。ぜひ、チェックしてみて。