ただのサイドメニューじゃない。フライドポテトが「人を近づける」理由
世界最大級の冷凍ポテト製品メーカーであるMcCain Foods(マケインフーズ)が、国連が定めた「国際ポテトの日」に合わせて初のグローバル消費者調査レポート「Spud Report(スパッド・レポート)」を発表しました。11カ国・12,079人を対象にしたこの調査が映し出すのは、フライドポテトという食べ物の、ちょっと予想外な「感情的パワー」です。
全11カ国で「1位」の衝撃
今回の調査で最もインパクトのある発見は、対象となった全11カ国において、フライドポテトが「最も好きなポテト料理」の第1位に輝いたという事実でしょう。マッシュポテト、ベイクドポテト、ハッシュブラウン──各国にはそれぞれ愛されてきた伝統的なポテト料理があるはずです。それらをすべて押しのけて、フライドポテトが頂点に立ちました。
食のグローバル化が叫ばれて久しいですが、ここまで明確に「ひとつの調理法」が文化や国境を超えて支持されるケースは珍しいのではないでしょうか。寿司やピザのように各国でローカライズされるのではなく、フライドポテトはほぼそのままの形で世界中の食卓に溶け込んでいる。その普遍性は、ある意味で驚異的です。
「気分が上がる」は78%
さらに興味深いのは、フライドポテトがもたらす感情面への影響です。同レポートによると、回答者の78%が「フライドポテトは気分を改善する」と答え、55%が「幸福感を感じる」、46%が「リラックスする」と回答しています。
そして、もっとも目を引くデータがこちら。3人に1人が「フライドポテトをシェアすることは、手をつなぐよりも親密に感じる」と答えたのです。
近年、食事の「共有体験」としての価値が注目されるようになっています。SNSでの「食べ物シェア投稿」が増え続けていることからもわかるように、現代の生活者にとって食は栄養摂取の手段であると同時に、人との関係性を築くツールでもあります。フライドポテトという、テーブルの真ん中に置いて誰もが手を伸ばせる料理は、まさにその象徴なのかもしれません。
McCain Foodsの渉外・サステナビリティ担当副社長であるCharlie Angelakos氏は「フライドポテトはサイドディッシュ以上の存在であり、世界中の日常的な儀式の一部です」とコメントしています。
深夜のフライドポテト問題
行動面のデータも、なかなか味わい深いものがあります。回答者の67%が午後10時以降にフライドポテトを食べた経験があると回答。深夜のフライドポテトは、もはやグローバルな「あるある」と言えそうです。
一方で、他人の皿からフライドポテトを無断で取る行為は、世界共通で最も眉をひそめられる行為とされました。にもかかわらず、56%の親が「自分の子どものフライドポテトをこっそり盗み食いしたことがある」と告白しているのは、なんとも微笑ましい矛盾です。
カナダに限ったデータでは、68%が「ダブルディッピング(ソースへの二度づけ)は許容できない」と答えながらも、44%が「実際にはやっている」と認めるなど、建前と本音のギャップが浮き彫りに。こうした小さな「食の背徳感」は、文化を問わず人間の本質的な部分に触れているようで、どこか親しみを覚えます。
食品ブランドが語る「感情」
今回のレポートが示唆するのは、食品の価値が「味・価格・栄養」という従来の評価軸だけでは測りきれなくなっているということではないでしょうか。
1957年にカナダで創業し、現在は160カ国以上で事業を展開するMcCain Foodsが、冷凍ポテトの製造企業としてではなく「ポテト文化の研究者」としてレポートを発行したこと自体が、食品ブランドのコミュニケーションの変化を象徴しています。機能的な価値を訴求するだけでなく、食がもたらす感情や人間関係の豊かさを可視化する──そんなアプローチが、これからの食品業界ではますます重要になっていくのかもしれません。
たかがフライドポテト、されどフライドポテト。あの黄金色の細長い一本が、世界中で誰かの気分を少しだけ上向きにし、誰かとの距離を少しだけ縮めている。そう思うと、次にフライドポテトを頬張るとき、ほんの少し違った味わいを感じられそうです。






