工芸品なのに「飾らない」。晩酌を2週間で変える木のボトル
北海道・小樽に本店を構える木材の総合商社・新宮商行が、現代アーティストのKei Arabuna氏と共同開発した「北海道ミズナラボトル -工藝-」を2026年9月2日に発売すると発表しました。
九谷焼、高岡銅器、漆、アイヌ文様──美術館のガラスケースに収まっていそうな技術が、1本のボトルに集約されています。けれどこのプロダクト、棚に飾るためのものではありません。
2週間で味が変わる「育てる樽」を
キッチンカウンターに置く


使い方はシンプルです。好みのウイスキーをこのボトルに注いで、約2週間待つだけ。
内部には樽と同じ「チャーリング加工」と呼ばれる焼き処理が施されていて、北海道産ミズナラの香味成分がウイスキーに移っていきます。ミズナラといえば、世界中のブレンダーが「ジャパニーズオーク」として憧れる希少な木材。
その樽熟成を、自宅のキッチンカウンターで体験できるというわけです。
注目したいのは、このボトルが「完成品」ではなく「育てるもの」として設計されている点。蓋には九谷焼の絵付け、胴を締める箍(たが)には400年の歴史を持つ富山県・高岡銅器の真鍮無垢、本体にはアイヌ文様のレーザー刻印が施されています。
漆モデルでは、使い込むほど木目の表情が深まっていく。つまり、毎晩の一杯がそのまま「工芸品を育てる時間」になるのです。
壊れたら終わり、ではない
金継ぎ的な「ユニット交換方式」

もうひとつ、このボトルには面白い仕掛けがあります。内部のミズナラ材は交換・再焼き直しができる「ユニット交換方式」を採用しているのです。初回交換は無料(送料は自己負担)。
これは伝統工芸の世界に古くからある「修復しながら使い続ける」思想を、現代のプロダクトに落とし込んだものだといいます。
金継ぎで割れた器を直すように、ボトルの中身をリフレッシュしてまた使う。「買い替える」のではなく「手入れして付き合い続ける」という関係性が、最初から構造に組み込まれているのです。
贅沢なのは「モノ」じゃなく
毎晩ボトルと過ごす時間のほう

開発コンセプトは「毎日の時間そのものを工芸品にする」。
新宮商行は1906年の創業から120年にわたり北海道の森と向き合い、全国に約5,000ヘクタールの社有林を保有する企業です。その木の知見と、4つの産地の職人技が1本に凝縮されたプロダクトは、たしかに「モノ」としても贅沢。
でも本当の贅沢は、2週間ごとに味が変わるウイスキーを傾けながら、手の中のボトルが少しずつ自分だけの表情に育っていく、その時間のほうかもしれません。
工芸品の価値は「完成された美しさ」にある──そう思い込んでいた自分に気づかされます。毎晩の一杯が、静かに何かを変えていく。そんな時間の過ごし方を、ちょっと想像してみてほしいのです。
北海道ミズナラボトル -工藝-
【ラインナップ】漆黒(漆塗り)135,000円(税別)/ナチュラル(ガラス塗装)115,000円(税別)
【サイズ】直径約8cm × 高さ約23cm
【容量】最大300ml(270〜300ml推奨)
【パッケージ】桐材木箱
【発売日】2026年9月2日
【初公開】LIFE×DESIGN(2026年9月2日〜4日)
【受注】SHINGU SHOKO WOOD SHOPにて9月2日より受付開始
【公式サイト】新宮商行






