【日本人が知らない、本当のフランス】1クラス、20カ国、24人。ある中学校に密着
2015年1月11日、パリ中心部に群衆が押し寄せた。同月7日に発生した政治週刊紙「シャルリー・エブド」銃撃事件を受けて、フランス史上最大規模と言える抗議活動が行われたのだ。
それほど同国において、12名もの死者を出すテロ事件が発生したことは、国民に大きな衝撃を与えた。
オランド大統領は議会演説で「我々はテロとの戦争に入った」と宣言。背景にあるのは、フランスという国がすでに多民族国家であるという事実だ。近年では、アフリカや中近東からの移民も多く、パリを歩けば、その多様性を垣間みることができる。
そんなフランスの「今」を、ニュースよりも鮮明に、そして感動的に伝えるドキュメンタリーが本稿で紹介する『バベルの学校』だ。
映画「バベルの学校」
『バベルの学校』予告編 from United People on Vimeo.
©pyramidefilms
作品は『パパの木』、『やさしい嘘』で知られるジュリー・ベルトゥチェリ監督によるもの。フランス本国では、これまでに900 館で上映され、19 万人を動員。フランス映画祭 2014 での上映後も、多くの賞賛が寄せられた。
舞台はパリのとある中学校。教員生活最後の年を迎えたブリジット・セルヴォニ先生の元に、世界20カ国から24人の生徒たちが集まった。
母語も、文化も、宗教も、家庭のバックグラウンドも異なる生徒たち。辛い母国の生活から逃れてきたものから、よりよい生活に憧れてきたものまで、その理由は様々だ。これから適応クラスから通常クラスへ移るために、フランス語の勉強を中心とした毎日が始まる。
新生活に戸惑いながらも、生徒たちは無邪気さ、熱意、そして悩みを通して様々な表情を見せる。そうして彼らは時にぶつかり合いながら、お互いの違いにまっすぐ向き合っていくのだった―。
2015年1月31日(土)〜
新宿武蔵野館、渋谷アップリンクほかで劇場公開。
配給:ユナイテッドピープル