Z世代は、自分の肉体よりも「アバター」が大事……?
ここ数年でメタバースが飛躍的に進化・普及したのは言うまでもないが、Z世代にとって、その重要性は想像よりも遥かに大きなものらしい。
世界最大級のメタバースプラットフォームである「Roblox」が、昨年末に「Metaverse Fashion Trends」なるレポートを公開。
名前の通り、これはRoblox初となるデジタルファッションに関する情報をまとめたレポート。米国でもっとも優れたアートスクールの一つである「パーソンズ美術大学」と協力し、ユーザーへ直接調査を行ったものだ。
特に、Z世代のアクティブユーザー1000人から汲み取ったデータはかなり衝撃的で、今やデジタルファッションは単なる「アバターの衣装」ではないことが分かる。
というのも、回答者の5人に1人が「現実の自分自身のスタイルよりも、アバターのファッションの方が自己表現にとって重要だ」と回答。
アクティブなZ世代の大多数はアバターをカスタマイズしたことがあり、そのうち半数が週に1回は着替えさせているのだそう。
さらに注目したいのは、これが単なる“着せ替え”を超越した価値を持つという点。
頻繁に着替えるユーザーは、アクティビティやオケージョンに合わせるのはもちろん、一緒に遊ぶ人・コミュニティによってスタイリングを変えるというのだ。
アクティブなZ世代にとってのアバターは、単なるゲームの操作対象ではなく、自己表現を通してコミュニティと”繋がるため”の手段になってきているようだ。
外出機会の減った現代において、メタバース内での着替えはもはや、現実世界のそれよりも身近なのかもしれない。
他方、レポートからは、アイテムを生み出すクリエイターの活動も非常に盛んなことが分かる。
データによると、米国内でRoblox用のデジタルアイテムをデザインするクリエイターの数は、なんと現実世界のファッションデザイナーの200倍以上。
1000万以上のクリエイターが6200万に及ぶアイテムをデザインし、何百万ものユーザーに自己表現方法を提供している状況は、実世界のファッション業界を凌駕するものだ。
また、「グッチ」や「ナイキ」をはじめとするトップブランドからカーリー・クロスのようなトップモデルまで、業界の権威も着々と仮想世界への適応を進めている。
メタバースという言葉が浸透してきたとはいえ、このデータは驚くべきではないだろうか。
このまま普及が進めば、いずれは現実世界の文明は衰退し『レディ・プレイヤー1』のような偏った発展を遂げるか、果てには『マトリックス』のように意識そのものが吸い取られてしまいそう。
Robloxの担当者は「次世代の(現実の)ファッション業界は、メタバース内のトレンドの影響を受けることになるし、逆もあり得るだろう」と語っている。
既に実世界のトレンド最先端はY3Kに辿り着いているが、数年後にはY5Kくらいになっているかもしれない。
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