「貧富の差」がよくわかる一枚の写真 地上にいては、気づけないことがある(南アフリカ)
アパルトヘイト(人種隔離政策)が完全撤廃となった1994年からじつに、20年以上の時間が流れ、南アフリカに暮らす白人、黒人コミュニティが互いに歩み寄り、少しずつ関係改善へと向かっています。
けれど、いまだに「持てる者」と「持たざる者」とを隔てる壁は、地上から目に見えている以上に高かった。
上空から見えた
暮らしの格差
テーブルマウンテンや喜望峰など、人気観光地を有するケープタウンの中心街から、およそ38キロ南に下ったマシプメレレ地区。旧黒人居住区にあたり、今もこの狭いエリアには無数の掘建て小屋がひしめき合うように並んでいます。
おそよ38,000人が暮らすこの地域には交番もなく、診療所がわずかに1カ所あるのみ。失業者も多く、HIVや結核を発症している人も少なくないそうです。
そのマシプメレレの目と鼻の先、ミッシェル湖畔(写真右側)には、掘建て小屋を何倍も大きくした豪華な家並が。ザ・レイクスと呼ばれる高級住宅地は、周囲を鉄格子がめぐり、護衛兵が目を光らせる白人たちの居住区です。
湿地帯を隔てて、わずか200メートルの距離しか離れていないんだそう。
地上にいては見えないことがある
「異なる視点で物事を見ることができるのが、空撮のいいところ。ですが、それは必ずしも美しさばかりではありません。数百メートル上空から、信じられないような不平等さを映し出すこともあるのです」
南アフリカを中心に空中撮影を続けるカメラマン、Johnny Miller氏。地上にいては見えないのが、この国の暮らしの格差だということが分かります。カメラが捉えた経済格差が少しでも縮まるようにと、Johnnyさんは「まず対話が生まれること」を望んでいるそうです。
彼のプロジェクト「Unequal Scenes」から、あなたは何を感じますか?
不平等な現場
「Unequal Scenes」
撮影場所:KYA SANDSとBLOUBOSRANDの境界
撮影場所:STRANDとNOMZAMOの境界
撮影場所:DURBAN METRO周辺
撮影場所:HOUT BAYとIMIZAMO YETHUの境界
撮影場所:ALEXANDRAとSANDTONの境界
撮影場所:PAPWA SEWGOLUM GOLF COURSE周辺
撮影場所:VUKUZENZELEとSWEET HOMEの境界
撮影場所:VUSIMUZIとMOOIFONTEIN CEMETERYの境界