クセがすごい!「ねじれすぎた」台北のマンションの真の姿

発展が目覚ましい台北・東部の信義地区。このエリアに2017年内の竣工に向け、急ピッチで建設作業が続くタワーがあります。すでにその異様な容姿を目にした旅行者からは、「あれは何なんだ!?」の声。それもそのはず、なんせその姿、あり得ないくらいにねじれているのですから。

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21階建て高さ93メートルの「Tao Zhu Yin Yuan Tower(陶朱隠園)」は、地上2階から最上階までが住戸の超高級分譲マンション。ディベロッパーはまだ販売を開始していないものの、現地メディアによると1戸あたり30〜40億円近くするなんて報道も。もう、超が付くような一部の富裕層を除けば、高嶺の花を通り越し、ほとんどどうでもいいような話にも思えるけれど…いやいや、これがそうでもないんです。いろんな意味で国内外から注目されるこのタワー、ではどこに注目が集まっているのか?

その前段として、台湾が言わずと知れた“スクーター大国”であることを頭に入れておいてください。すると、このタワーの完成が台北の街に与える影響が、少なからず見えてくるはずだから。

注目その1
1フロアわずか2戸、
約200坪の超高級住宅

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そもそも、共同住宅の1室が200坪!なんてところからして、すでに世間ズレしていることは言うに及ばず。1フロアもたった2戸にとどめ建物全体でも40戸しか入らないというのだから。窓の外は、さながら遊歩道のようなバルコニーが続き、日が陰るまで光が部屋の奥へと届く設計なんだとか。

地下駐車場から専用エレベーターを使えば、玄関前まで乗用車を横付けすることもできるらしく、イメージ図のなかには部屋の中にマイカーを入れちゃったものなんかも見て取れます。

注目その2
タワー自体が反り返る
DNAの二重らせん構造

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Tao Zhu Yin Yuan Tower最大の特徴が、この異様なねじれ。建物の土台となる基底から頂点まで、ねじれた角度はじつに90度。日本同様、地震の多い台湾ですが、耐震に関してはこれでも問題ないのでしょう。

この独特なフォルムをデザインしたのが、ベルギー人建築家のVincent Callebaut。いわく、生命の源であり自然との調和の象徴であるDNAの二重らせん構造にインスパイアされ、このかたちを思いついたそう。だけど、単なる奇抜さを狙っただけではもちろんありません。このねじれがちゃんと理にかなったものだった。

注目その3
23,000本の植栽で、
建物全体が“ひとつの庭園”に

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そのじつ、このねじれタワーは、ファサードから、バルコニー、室内にいたるまで、およそ23,000本の木や潅木で覆い尽くして始めて完成をみることに。タワー1棟でNYセントラル・パーク内の木々の量に匹敵するというから、どれだけその数が多いかがイメージできますか?この植栽計画により、年間約130万トンの二酸化炭素をTao Zhu Yin Yuan Towerだけで吸収することに。

2014年、台湾全土でおよそ2億5,000万トン以上の二酸化炭素が排出されたというデータがあるそうです。そこから考えれば、たしかに小さなアクションにすぎないかもしれない。けれども、これが「持続可能な未来型の住宅用エコ建設」だと強調するCallebaut。

雨水リサイクルや屋上のソーラーパネルだけでなく、風通し(換気)や太陽光がまんべんなく注ぐよう設計されたのが、あのねじれだということに気づくと、超バブリーなこのマンションの存在意義が、決して小さくないことにようやく気がついた感じです。

自然を都市生活と融合させる
新たな住まいの定義となる?

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「2050年にはおよそ900万人が新たに誕生するという試算があります。世界の人口の約80%が大都市に暮らし、気候変動に対応しながら、新しい環境に配慮したライフスタイルを創り出していかなければいけないのです。自然を都市に取り入れる、それは必然なのです」。

人間と自然界の生態系との調和を目指すCallebautは、自らを「Archibiotect(アーキバイオテクト)」と称しています。建築とバイオテクノロジーを融合させるベルギー人建築家は、新しい住まいの定義を投げかけているのかもしれません。

台北101と並び信義地区にまたひとつ、エコロジカルなランドマークが登場するのは、晩秋になる予定です。

Licensed material used with permission by VINCENT CALLEBAUT ARCHITECTURES, (Facebook), (Twitter)
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。