日本文化を「パリ流」で楽しむと、おにぎりはこうなった。
私たちがいつも目にしていて、もっとも馴染みのある携行食である「おにぎり」。
好きな具を入れた塩気のある白米を、海苔で包んだあのフォルム。売っている場所と言われてパッと思いつくのは、コンビニやお弁当屋さんでしょう。まさかそこに、<美容薬局>だなんて候補は、チラつきもしないと思います。
『BULY』パリ2号店に、
おにぎり屋が登場
1803年に創業したフランス・パリの総合美容薬局を、3年前にリブランドして、理念と革新性を受け継いだ『OFFICINE UNIVERSELLE BULY』。今年4月には、代官山にオープンしたことで話題になりました。日本初上陸、世界中では5ヶ国目。パリの本店に足繁く通っている日本人女性も多かったようで、オープン当初はものすごい賑わいだったそう。
上の写真は夏にオープンしたパリの2号店で、カフェやお花屋さんを併設したマレー店です。カウンター席の奥にある、ショーケースにご注目。
この店内に、まさか「おにぎり」は似合わないだろうと思っていたけれど、びっくり。“おめかし後”の姿で、綺麗にショーケースに並べられれば、場に劣らず、ちゃんとパリに馴染んでいます。私たちの、知っているようで知らなかった表情。
左のボードに書かれたメニューをズームして見てみると、一番上には<NANIKORE>という文字。……え?ナニコレ?
このおにぎり屋の名前は、<NANIKORE ONIGIRI>なのです。思わぬキャッチーな響きに、クスッと笑ってしまいました。大のおにぎり好きであるBULYのオーナー、ラムダン・トゥアミのアイディアで生まれたのだそう。
正確な三角形に握られたお米に、ビジュアルを意識して全体を包むのではなく、よく見るイラストのようにカットされている海苔。ベーシックな白米や、ゆかりご飯もあるけれど、カレーピラフ、パエリヤのような変わり種もあります。
そしてやっぱり気になるのは、この添えられているアーモンド。まさか…。フランスの投稿文を翻訳してみたけれど、おそらく1番奥の味付けは、ローストしたアーモンドのよう。さすがはパリ、一歩先の挑戦をしているのだなと思っていたら、もっと衝撃の新参者に出会ってしまいました。
これは……!?
間違いありません、生チョコレートです。日本人からすると、想像以上の組み合わせ。口に入れるとなると勇気が必要ですよね、口コミを見てみると、「おはぎの進化を感じた」との声がありました。ほぅ……。
フランスでは、お米を牛乳で煮て、フルーツやシナモンを添えるデザートを幼い頃から食べる文化があるので、意外と評判がいいのかもしれません。他にも、<キャラメル&りんご>などがあるようです。
たしかにこうして見てみると、<ONIGIRI>だけではなく、<NANIKORE>が頭につくこともわかります。パリの地になると、おにぎりという日本の食文化は、思いもしなかった嗜好や習慣によって、あたらしい姿になっていました。けれど、思いを込めてていねいに手で握ったり、忙しくても食べやすいよう包んで届けるという心は、そのまま生きているのです。
いつか日本にも、BULYがプロデュースする“フランス人好みの”おにぎり屋ができたら、食べに行ってみたいですね。