この映画は、単純なラブストーリーじゃない。自分の信念を貫くために闘った「女性の物語」だ。

1940年代のアイルランド。そこは宗教的圧力と古く保守的な風習によって女性たちが虐げられてきた歴史を持つ。

この物語の主人公ローズは、美しいという理由だけで「男を狂わす危険な女性」と色眼鏡をかけられてしまう。続いて、抗いがたい運命に飲み込まれていくのだ。やがて、未婚の母や婚外子を生んだ彼女は、ある事件をきっかけに40年にも渡って精神病院に幽閉されてしまうハメとなるー。

本作品のポスターなどで展開されているメインビジュアルから想像できるのは、ラブストーリー。だけど、そんな単純な話なんかじゃない。この映画は、自分自身のアイデンティティを証明するために闘い続けた女性の信念の物語なのだ。

赤ん坊殺しの罪に問われる
精神障害犯罪者

ローズは、なぜ長い間精神病院にいるのか、どうして本名とは違う名前を名乗るのか、一体彼女にはどんな過去があるのか?

ここでネタをバラすつもりはないが、予告編のトレーラーの中で触れられるワードのみを紹介しよう。彼女は、赤ん坊殺しの罪に問われる「精神障害犯罪者」だ。

このショッキングな設定が、物語の大きなキーになっている。

 

運命を狂わされた女性

若かりし頃のローズを演じているのは、ルーニー・マーラ。ニューヨーク出身の女優さんだけれど、瞳の色が吸い込まれそうなグリーン。もし、彼女に真っ直ぐに見つめられたら、一瞬で心を奪われそうなほどの美女だ。

男たちを惹きつけるほどにセクシーという役柄はハマリ役だとも言える。とはいえ、今でこそ、彼女の美しさは、大きな武器とも成り得るかもしれないけれど、当時のアイルランド(しかも、田舎町)では、厄介ごとの火種でしかなかったのだ。

ルーニー曰く「ローズは、時代の犠牲者」。実際、アイルランドには、彼女のように運命を狂わされた女性が多く存在していたとのことだ。

忘れてはならない
生への執着

歴史は勝者によって書き換えられるのが、常。で、個人のプロフィールなど簡単に書き換えられてしまう。身寄りのない女性の人生なんて、どうにでもされてしまうのだろう。

ローズの場合は、気が触れた目障りな高齢の女性。そんなレッテルを貼られながらも彼女は、自分自身が何者であるかを証明することを諦めなかった。そして、聖書の隙間に密かに日記を書き綴ったのだ。

幽閉されて40年間。彼女が生きながらえたのは、生への執着であり、自分の信念を貫き通したからに他ならない。映画タイトル「ローズの秘密の頁」ともあるように彼女がどんな秘密をしたためたのか。そして、エンディングでどんな奇跡が起こるのかは、ぜひ、劇場で目撃して欲しい。

『ローズの秘密の頁』
2018年2月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU CINEMAほか全国公開中。公式サイトはコチラ

(C)2016 Secret Films Limited

Licensed material used with permission by ローズの秘密の頁
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。