欠点があるから強くなれる。迷いがあるから賢くなれる。

「成功も失敗も終わりではない。肝心なのは続ける勇気だ」
                 ーウィンストン・チャーチル

「世界のCEOが選ぶ、最も尊敬するリーダー」(2013年PwC Japan調べ)に、スティーブ・ジョブズやガンジーを抑えて選ばれたのは、政治家のウィンストン・チャーチルだった。

なぜ、彼がこれほどまでにリスペストをされているのか?なぜ、周囲から信頼も協力も得られなかったところから、政府や国民、そして世界に声を届けるリーダーとなりえたのか?映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』を観ればその理由が明らかになるはずだ。

この映画は、真のリーダーシップとはどんなものかを教えてくれる側面も持ち合わせている。

変人と噂された
真実の姿

チャーチルのトレードマークといえば、シガー。1日中火をつけては消し、またつけるというほどの愛好家。また、朝から酒をたしなむほどの大酒飲みだった。さらには、国王との用事よりも昼寝を優先して、バスルームでもミーテイングをする変人ぶりでも知られている。

完全に毅然とした人物として描かれることの多いチャーチル。しかし、ここ10年間の研究で、他の側面も明らかとなった。ほとんどの自伝から消し去られたチャーチルの弱さ、短所、そして、苦悩。本作品ではそれらが、ありのままに描かれているのだ。

彼を陰で支えたのは、愛妻のクレメンティーン。彼女は「欠点があるから強くなれる。迷いがあるから賢くなれる」と夫を優しく励ます。その際に「全世界があなたの肩にかかってる」というエールをもらうシーンは感動的。

また、自宅に訪ねてきた国王ジョージ6世から「君の首相就任を誰よりも恐れたのはヒトラーだ。あのケダモノを怯えさせる男を私は信用する。戦おう」という言葉をかけられるシーンも、また胸が熱くなる。

素顔のチャーチルが垣間見れるのも、この作品の見所のひとつと言えるだろう。

ヒトラーに屈するか?
それとも闘うのか?

物語の設定は、1940年の第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた頃だ。チャーチルの首相就任から、ダンケルクの戦いまでの知られざる27日間がスケッチされている。

ヨーロッパのみならず、世界にとっても究極の選択を迫られるのだ。つまり、ヒトラーに屈するのか、あるいは闘うのかー。

議会において、四面楚歌の状態にありながら、民衆の声に耳をすませ、首相の葛藤と苦悩を抱えながらも、自らの言葉で人々を奮い立たせたチャーチル。

ナチス・ドイツに対して「いかなる犠牲を払っても祖国を守り抜く。断じて降伏はしない」と力強い言葉とスタンスはどれだけの人々に勇気を与えたことだろう。ラストシーン、約4分間にもわたる演説は、圧巻の迫力だ。

不確実な時代、世界でポピュリズムが台頭し、真の民意を汲んで国を導くリーダーが不在となっている現在だからこそ、魂の込められたスピーチに心を鷲掴みにされ、激しく感情を揺さぶられてしまうに違いない。

言葉の力

広く知られていないかもしれないが、チャーチルは、のちにノーベル平和賞を受賞している。

「言葉は世界を変える。1940年、チャーチルを通じて起きたことです」とは、本作のオリジナル脚本を手がけたアンソニー・マクカーテンの弁。そんなマクカーテンの興味を惹いたのは、やはりチャーチルの言葉だったという。本作の脚本のエッセンスになっているのは、1940年5月から6月まで実際にチャーチルが書き、演説した3本のスピーチだったとのこと。

当時、チャーチルは65歳。原題の『Darkest Hours』は、最も困難な挑戦をした彼自身がその時期を表現した言葉に由来しているようだ。5月10日に英国首相に任命されてから、6月4日にドイツへの徹底抗戦を宣言するまでの27日間。その日々は、チャーチル自身にとっては、生き地獄のような日々であったと想像できる。

しかし、「勇敢に戦って敗れた国はまた起きあがれるが、逃げ出した国に未来はない」と国王にも、言葉を武器にして真っ直ぐに自分の心の澄んだ声を放つ。その揺るがないスタンスこそが英国民たちを鼓舞したのだ。チャーチルは言葉の力を強く信じていた。それは、裏返せば、彼もまた言葉に勇気を与えられたからではないだろうか。

最後に、第35代アメリカ大統領がチャーチルに関して書いた言葉で締めることにする。

「暗黒の日々、多くの英国人が国の未来に絶望する中、
彼は言葉を動員して、戦地へと送った。
彼の白熱した弁は、国民の勇気を奮い立たせた」
                     ージョン・F・ケネディ

 

『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
2018年3月30日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。公式サイトはコチラ

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ビジネスカテゴリーの真面目な記事なのですが……。え〜と、日本人が使うとちょっぴりキザなセリフが多いです。
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