都市伝説じゃなかった。台湾の老舗ホテル地下に掘られた「秘密のトンネル」

東京から、たった4時間。週末トリップの目的地として常に人気のこの国には多くの魅力が溢れている、なんてこと今さら言うまでもないでしょう。

むしろ「おすすめスポット」については、語り尽くされた感があるという人も。でも、いえいえまだまだですよ。

全12回にわたってお届けしている、ちょっとディープな台湾ガイド。第4回は、台湾の老舗ホテル・圓山大飯店の地下に存在する「秘密のトンネル」をご紹介。

始まりは、日本統治時代に遡ります

1895年から1945年までの50年間、台湾は日本の統治下にありました。

日本政府はこの統治時代に多くの神社を台湾内に建設し、その中でも1901年に創建された「台湾神宮」は、台湾の総鎮守として最も重要な神社とされました。

しかし、1944年、台湾神宮のあった圓山の山頂に旅客機が墜落するという大事故が起こり、社殿などのほとんどが焼失してしまいます。

そして1945年、第二次世界大戦の終戦と日本敗戦とともに、台湾にある全ての神社は廃止。

1952年、台湾神宮の跡地に建てられたのが、台湾大飯店(後の圓山大飯店)。改装を繰り返しながら、台湾で最も有名な国際レベルのホテルとして、今も世界中のVIPが訪れる場所となっています。

いざ、秘密のトンネルへ

「ホテルの地下に秘密のトンネルがあるらしい」という情報はあったものの、その全貌は謎に包まれていました。ところが2015年、ホテルはこれを一般公開する事を決めます。

ドキドキしながら従業員専用通路を抜けていくと、突き当たりに台北の夜景画が施された扉が。

扉が開かれると、出てきたのは乳白色の鍾乳洞のようなトンネル!ホテルの地下にこんなものがあるなんて……。

1973年、有事の際に当時の総統・蒋介石を始めとするVIPを逃がす為に作られたと言われるのが、この脱出トンネル。入り口から約20mは、急な階段と滑り台になっています。

かなり急なので「滑り台は逆に危なくないのかな?」と口にしたところ、どうやらこれは荷物用のシューターとしての使用が想定されているとのこと。

戦争時には防空壕の役割も果たすというトンネル内の壁には、外の爆発音を防音する為の凹凸がつけられてます。

説明を聞くにつれて、当時の生々しい歴史背景が浮かび上がってきます。

遊び心でも気まぐれでもなく、本当にこのトンネルを使うかもしれない事態を予測していたのかもしれません。

現在まで、実際に使われたことはないという事実に少しホッとします。

進んでいくにつれて、どんどん狭くなっていくトンネル。最後は大人が立って歩くのがギリギリくらいに。

全長約85mを下りきって突き当たったのがこの出口。ホテルの西側の、剣潭公園に出ることができます。

実は逆の東側にも同様のトンネルがありますが、こちらは依然非公開。

ホテル宿泊者の特権なのです

現在、ホテル宿泊者に限り公開されている「秘密のトンネル」。この場所を目的とした台湾旅も、一つの楽しみ方ではないでしょうか?

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。