練馬・豊島園駅近くで見つけた「カレー」から「かき氷」への意外すぎる流れ
東京・練馬区にある「豊島園」に向かって歩いていると、おいしそうな昔ながらのかき氷屋さんを見つけた。
「かき氷屋さんは、どうやって生計を立てているのだろう。そもそも、そんなにかき氷って売れるのだろうか」
そんなことを考えつつも店内に入ると「カレーとかき氷のセット」が目に入った。辛みからのかき氷? ありかもしれない……。
その店の名前は、「食堂 八(はち)」。
かき氷を売りたくてカレーを始める
という逆転の発想
聞けば、最初はかき氷だけを売っていたという。
「かき氷だけだと、冬にはなかなか売れないんですよね。当たり前ですけど。で、冬にかき氷を食べてもらうにはどうしたらいいかなって考えたら、カレーに行き着いたんです」
と店主の松島さん。
かき氷から始めたというだけあって、かき氷には一家言あるようだ。
メディアの取材などでもよく取り上げられるのが、「チャイのかき氷」だ。カレーとの相性もいいので、アイコン的な存在として一緒にオーダーされるという。
たしかにチャイのかき氷は珍しいし、しっかり香辛料が効いたチャイと練乳がかかっていて「こう来たか」と唸らせられる。
なにせ、今年の夏は暑い。ふわふわの氷とチャイ、うまいじゃないか……。
「でも、チャイのかき氷ってなんか飛び道具的でしょ? 僕らとしてはかき氷屋なので、うーん……、やっぱり抹茶を食べてもらいたいんですよね」
と言いながら、カレーを目の前に置く店長。
ちなみにここのかき氷、写真を見てもらえれば分かるように、スモールサイズでも手まりほどの大きさで、けっこうお腹がいっぱいになる。
主役のかき氷も超えそうな
カレーのインパクト
この日に用意されていたのは、あさりのカレーと、ダル(豆)カレー。
これが、かき氷のおまけかと思いきや完成度の高さが半端じゃない。じつは、店主の趣味はカレー作り。昔から参加していた、とあるカレー部の活動で、日本国内のカレーを食べ歩きまくり、さらには作りまくり、趣味の究極のカタチとして行き着いたものがコレだ。
「インドカレーではないですね。うーん、なんだろう。よくお客さんにインドのアレですか、なんて聞かれるんですけど、僕は知らなくて(笑)。強いて言えば “うちのカレー” です」
そして、ダルカレーはともかく、あさりのカレーがかなり辛い。水がないと完走しきれないくらいに辛い。辛いながらも、しっかりしたダシが効いてて旨い。辛い。
旨い、辛い…。「はっ!」
そうだ……かき氷が、いま食べたい!
ご褒美のかき氷は
サウナの水風呂のよう
突然だけど、僕はサウナも好きだ。かの有名な『サ道』を著したタナカカツキ先生が声高に叫んでいるのは、その水風呂の素晴らしさだ。
サウナの温、水風呂の冷。この落差こそサウナの気持ちよさであって、水風呂こそご褒美なのだと。
はい、待ってました、今度こそ「抹茶」。
おいしい辛さで充満した口のなかに、一気にかき氷を流し込む。
これは「ととのって」しまう。これまでの人生でこんなに “気持ちのいいかき氷” を食べたことがあっただろうか。2つめなのに、どんどんノドを通っていく。
夜の営業が楽しみだ
「この豊島園の駅のあたりは昔からよく通ってたところで、ある日このテナントに空きが出てたんですよ。そういえば、妻がかき氷屋をやりたいって言ってたなと思い出して、借りちゃったんです。でもあるとき妻に聞いたら、義母さんが老後にやりたいことだったそうで、僕の勘違いだったんですよね。ははは。それが6年前のことです」
氷、抹茶、あずき。かき氷も、試行錯誤を続けて今の姿がある。
「食堂 八」は2018年の夏に改装が終わり、9月からは夜の営業も始まる予定とのこと。今度は「カレー→かき氷→ビール」のフローを楽しみに来よう。